社員に自発的に動いてもらうために必要なこと
「なりたい会社」になるヒント最近、ある経営者の方から、「言われたことはできるけど、自発的には動かない社員が多いのですが、どうしたらよいのでしょうか」と相談されました。そもそも、なぜ社員は自発的に動かないのでしょうか。それは、社員が会社のことを「他人事」だと捉えているからです。
もちろん、心の中では自発的に動いたほうがいいとわかっている社員も多いかもしれません。しかし、やったほうがいいと思っていても、どうしても自分の問題として思えない、しょせんは他人事だと思うと、やる気にならないものです。
それでは、社員に自発的に動いてもらうためには、何が必要なのでしょうか。方法や手段はいくつかありますが、少なくとも社員に会社のことを他人事だと思わせない環境作りが必要となります。
具体的には、社員が今やっている仕事が会社にどんな影響を与え、かつ、その社員のキャリアにどんな影響があるのかを本人に考えさせる、ということが必要になります。
キャリアを一緒に考える
たとえば、ある会社の社員Aさんは、ルーティンワークの仕事をそつなくこなしていましたが、あるとき資格の取得を決断しました。
当初、Aさんは自分のキャリアアップについて漠然としたイメージしかありませんでしたが、これを機に自分のキャリアを具体的に考えるようになりました。
すると、目の前にある仕事が、将来の自分のキャリアにどのような影響をもつのか、ということが気になって、今の職場で何ができるかを考えるようになったそうです。
そこでAさんは、まず資格取得のために自分が勉強した内容を同僚とシェアするために、自主的に勉強会をスタートさせました。
次に、自分が勉強している知識をB部署で活かすことができることに気づき、社内の定期面談の場で資格試験の勉強をしていることをアピールしました。結果として、B部署へ異動することになったのです。
Aさんのように自分のキャリアを真面目に考え、今の仕事は自分の未来を作るために必要なのだと感じることができたとき、会社の仕事は他人事ではなくなります。
もちろん、すべての社員について希望どおりに話を進めることは難しいでしょうが、まずは社員個人のキャリアを一緒に考えるという環境を整えることが大事です。
「社員が自発的に動かない」と悩まれているようでしたら、ぜひここから始めてみてください。
月刊「ニュートップL.」 2011年10月号
吉川直子(コーチ型人材コンサルタント)
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