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会社の情報を守る!営業秘密の三要件とは

会社が守るべき情報に法的保護を!

不正競争防止法において、会社が保持する情報が営業秘密と認められるためには三つの要件を満たす必要があります。
逆にいうと、この三要件を満たしてこそ、営業秘密として法的に守られることになるのです。

では、営業秘密の三要件とはどんなものなのでしょう。
ひとつずつ順にわかりやすく解説していきます。

不正競争防止法における営業秘密の定義

会社には守りたい営業秘密がいろいろあることでしょう。
しかし、会社が営業秘密だと考えていたとしても、法律上は営業秘密だとみなされないかもしれません。不正競争防止法第二条第6項で、営業秘密は次のように定義されています。
※下線は編者による

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。

不正競争防止法第二条(定義)第6項

つまり営業秘密として法に基づく保護を受けるためには
秘密管理性:秘密として管理されている
有用性:有用な技術上又は営業上の情報
非公知性:公然と知られていない
この三つの要件を満たさなければなりません。

この三要件を満たせば原則、その秘密情報が漏えいしたときにも差止めや損害賠償等の民事上または刑事上の措置の対象になります。
だとすれば、秘密管理性・有用性・非公知性を保持することがいかに重要であるか、おわかりいただけるでしょう。

それでは、営業秘密の三要件をひとつずつ見ていきましょう。

営業秘密の三要件:秘密管理性

秘密管理性とは

営業秘密の三要件のうち、もっともポイントになるのがこの「秘密管理性」です。
秘密管理性とは文字通り、ある情報が外部に漏えいしないよう「秘密として管理されている」ということです。
このとき、社内の一部の方(たとえば経営陣だけ)が秘密だと考えているのでは成立しません。
秘密にしていると社員みんなが認識できるような、適切な秘密管理措置を取ることではじめて秘密管理性が成立します。

たとえば営業秘密だとしても、その情報が掲載されている書類を誰もが目にするような場所に無造作に置いていたとしたら、どうでしょうか。
これでは客観的に見て、秘密として守られているようには見えません。
秘密管理性を保持するためには、その秘密が限られた人にしか触れられず、どの社員にとっても秘密として守られていると認識できるものでなければなりません。

具体的にどうやったら秘密管理したことになるのか

わかりやすい措置でいうとまず、営業秘密をまとめた文書に「マル秘」と書くように、秘密情報であることを明示することが挙げられます。
関係者以外は触れないよう、鍵のかかるキャビネットや金庫に保管しておくという措置も必要でしょう。

電子データの場合も同様です。
秘密であることの明示やファイルへのアクセス制限を課すことが考えられます。

ポイントはこのような措置をとることによって、会社が一部の情報を秘密管理しているのだということを社員に認識させることです。

秘密情報に対する認識向上

社員に秘密であると認識させられるくらいの管理措置を講じることで秘密管理性は保たれます。
当然のように思えるかもしれませんが、社員に認識させておくというのは「秘密情報であると知らなかった」という言い逃れを防ぐという点でもメリットになります。

IPA「企業における営業秘密管理に関する実態調査2020」によると社員の故意・過失による漏えいが上位に挙げられています(下記参照、上位5位まで引用)。
社内で秘密情報管理の認識を高めるということはとても大事なことなのです。

■情報漏えいルート
  1. 中途退職者(役員・正規社員)による漏えい:36.3%
  2. 現職従業員等の誤操作・誤認等による漏えい:21.2%
  3. 現職従業員等のルール不徹底による漏えい:19.5%
  4. サイバー攻撃等による社内ネットワークへの侵入に起因する漏えい:8.0%
  5. 現職従業員等による金銭目的等の具体的な動機を持った漏えい:8.0%

もちろん、社員のモラル向上という点でもおおいに役立つことでしょう。

営業秘密の三要件:有用性

有用性はその秘密が「有用な技術上又は営業上の情報」であることで認められます。

ところで、会社が秘密として管理したい情報であれば、おおむね有用なものであるはずです。
そのため、秘密にしたい情報が公序良俗に反する内容でないかぎり、事業活動に有用であれば「有用性」が認められます。

有用性で面白いところは、失敗した研究データや商品の欠陥情報も含まれるという点です。
こういったネガティブな情報も、たとえば改善点になって研究開発費用を節約するのに有用であると考えられるようです。

営業秘密の三要件:非公知性

営業秘密は「公然と知られていない」ものでなければなりません。
当然のことながら、広く知られているとか、誰もが簡単に入手できるといった情報では非公知性は認められません。

どれほど有益な情報であって、社内で厳重に管理していたとしても広く知られている情報であれば営業秘密にはならないということです。

少々注意すべき点があるとすれば、海外で公開された経歴があった場合です。
それでも国内で知られておらず、その情報を取得するのに相当な労力をかけなければならないとしたら、非公知性は保持されるそうです。

ただし、なんらかの理由でその情報が公開されたら、非公知性は失われます。
(例:○○という研究成果が海外の論文に掲載されていたことが見つかったという報道)

社内の営業秘密が三要件を満たしているか確認を

営業秘密は会社にとって有益な情報であるから、外部に漏らしたくない情報であるはずです。
したがって、不測の事態により漏えいした場合でもできるかぎり対処したいところでしょう。

差止めをするにしても損害賠償請求を起こすにしても、法にのっとった適切な管理措置をしていなければ、客観的には営業秘密と認められません。
そうなると、泣き寝入りせざるをえないかもしれません。

どの会社も営業秘密は入念に管理されていらっしゃるかと思いますが、リスク管理の大前提として、三要件を満たしているかどうかも、あらためて確認してみてはいかがでしょうか。

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