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なぜ、社員は期待どおりの役割を果たさないのか

「なりたい会社」になるヒント

先日、あるお客様から「社員が、こちらが期待している仕事や役割を果たしてくれません。どうしたらいいのでしょうか」というご相談を受けました。対して、私は「『組織図』を見せていただけますか」とお聞きしました。

なぜなら、社員一人ひとりの役割と仕事内容は、会社全体をみて決めていく必要があるからです。ところが、そのお客様は「組織図はあるのですが、実態としてはあまり機能していなくて……」と申し訳なさそうにおっしゃいました。

実は中小企業の場合、このお客様のように「会社が求める社員の仕事や役割」と「実際の仕事や役割」とのギャップに悩まれている会社が少なくありません。そして、ギャップがある会社は組織図がなかったり、あっても機能していない、というケースが多くあります。

「人ありき」に注意する

なぜ、このようなギャップが生まれてしまうのかというと、実は採用の問題と大きく関係があります。本来の採用の原則からすると、「会社全体から各役割と各仕事内容を決め、その仕事を任せられる人材を雇う」という流れになりますが、中小企業の場合はこの流れが「逆」の場合が多いからです。つまり、まずは人を採用し、その人に仕事や役割を当てはめる「人ありき」のスタイルなのです。

もちろん、中小企業は大企業とは違って限られた人数で数々の役割をこなす必要がありますので、「人ありき」の部分も否定はできません。ですが、その比重が重すぎると、当然、会社の求める役割や仕事の能力と、本人の能力とにギャップが生じることになります。

このようなギャップを生まないためにも、「組織図」を作り、各事業の役割・役職者の役割・求める仕事内容を明確にしておく必要があります。

ただし、突然、会社から役割や仕事内容を一方的に押し付けられると、社員のモチベーションが下がるおそれがありますので注意が必要です。このような場合は、社員自身も巻き込んで役割分担や仕事内容を自分たちで決めさせる手段が有効です。これができると、会社の仕事が「他人ごと」から「自分ごと」に変わります。

もし、社員が期待どおりに役割を果たしてくれない、と感じているのであれば、この機会にいったん目先の仕事や役割から離れて、組織全体からの役割と仕事内容を見直してみてください。

月刊「ニュートップL.」 2011年7月号
吉川直子(コーチ型人材コンサルタント)


掲載内容は取材当時のものです。
現在の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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