事業所の半数以上が抱えるメンタルヘルスの問題
「なりたい会社」になるヒント最近、メンタルヘルスに関するご相談が増えています。社員がうつ病により休職をする場合は、自社の就業規則に基づいて対応することになりますが、一般的な流れは下記の通りとなります。
- 就業規則の休職規定を確認
- 休職規定に該当している場合は、会社が休職を発令
- 本人から休職願いを提出してもらう
- 休職
- 傷病手当金等の休職期間中の生活保障に関する手続きを行なう
- 社会保険料等の請求、精算
※本人との取り決めにより、毎月精算もしくは復職後にまとめて精算 - 病気が治った場合は復職。復職の場合は復職願いを提出
- 休職期間を延長する場合は、休職期間延長を発令
- 病気が治らず復職できない場合は、休職期間満了により退職(もしくは解雇)
「復職」「退職」「解雇」は実際に社員とのトラブルも多いケースですので、あらかじめ就業規則で規定を定めておくことが大事です。
予防の視点からの対策
ところが、メンタルヘルスの問題は年々、増えてきているため、もはや休職や復職トラブルを防ぐだけでは、本質的な問題解決にはならなくなってきています。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が平成23年6月に発表した調査によると(5250事業所が回答)、職場の人間関係によりメンタルヘルスに問題を抱える社員がいる事業所が、全体の56.7%であるということがわかりました。
実際、先日あるIT業界の会社さんから、チームリーダーや社員のコミュニケーション力とメンタルヘルスの関連についてご相談をお受けしました。最近の若手社員は、上司・部下やお客様とスムーズにコミュニケーションができないケースも増えており、疑問や問題を一人で抱え込んでしまうことが、メンタルヘルスの問題に影響しているということです。
中小企業では、休職期間が大企業に比べて短いなど、実務的には退職もしくは解雇となるケースが少なくありません。ですが、今後は病気の予防や職場復帰という視点で対応を考えていく必要がありそうです。職場でのコミュニケーションの改善など、ぜひ身近なところから始めてみてください。
月刊「ニュートップL.」 2011年9月号
吉川直子(コーチ型人材コンサルタント)
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