管理職に役割を果たしてもらうためには?
「なりたい会社」になるヒント最近、複数の経営者の方から「管理職に管理職としての仕事をしてもらうためにはどうしたらいいのか」というご相談をいただきます。低成長時代の現代では、管理職は部下の行動をただ「管理」するだけではなく、個性・価値観を尊重しつつ、その能力を最大限に引き出し、組織の進む方向へ適合発展させていくためのマネジメント力が求められています。
ところが、管理職として必要な能力やスキルは、意外と本人任せになっている会社も多いようです。
このような場合、当の本人は、何をどうしたらいいのかわからず、無意識のうちに自分で管理職の役割を放棄してしまっている、というケースも見られます。
期待することを伝える
先日、ある経営者の方から依頼があり、課長のAさんに管理職としての意識をもってもらうための研修をさせていただきました。Aさんは優秀な方ですから自分の仕事はきちんとこなすのですが、5名いる部下の育成については、自分の仕事と認識していませんでした。
そこで、管理職としての役割をどうとらえているのか尋ねてみると、Aさんは自分を管理職にふさわしくないと考えていることがわかりました。人前で話すのが苦手で自信がもてず、無意識のうちに管理職としての役割を放棄していたのです。
もちろん、管理職に必要なスキルが欠けているなら、習得する必要はあります。ですが、完璧をめざすあまり欠点にばかり目が向いて、管理職としての本来の役割をまっとうできないのであれば、本末転倒ではないでしょうか。
中小企業においては、「管理職として必要な能力をもっているか」「管理職としての素質があるか」ということは脇に置かれて、「順番だから」「勤続年数が長いから」という理由で管理職に任命するというケースもよくお聞きします。
ですが、ある役割を与えるということは、相手にその役割なりの能力を認めたうえで成果を期待している、ということではないでしょうか。もちろん、管理職本人の意識改革や自己啓発という視点も大事ですが、やはり一定の教育と、役割をまっとうすることへの期待を経営者から本人に対して、きちんと伝える必要があります。
その一言が、本人の管理職という役割へのコミットメントになりますので、ぜひ直接、言葉で伝えてみてください。
月刊「ニュートップL.」 2011年4月号
吉川直子(コーチ型人材コンサルタント)
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