テレワーク下のコミュニケーション不足を解消するヒントになる書籍3選
テレワークが導入されて、社員同士が顔を合わせなくなったことにより、コミュニケーション不足が指摘されています。
できるだけ話しかけてはいるつもりだけど、どうもうまくいかない……。
そんなお悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは日本実業出版社が発行している書籍の中から、テレワーク下のコミュニケーションを改善し、チームを効果的に運営するためのおすすめ書籍を3点ご紹介します。
目次
テレワークの実施率はどれくらい?
まずは、テレワークの実施状況について、いくつかの調査結果を見てみましょう。
2020年調査時点で、弊社のお客様もすでに66%の会社※でテレワークを実施(または推奨)されていらっしゃいました。
※下図参照
「在宅勤務を推奨している」「在宅勤務を可能にしている」「原則、在宅勤務としている」を合わせて66%の企業が在宅勤務を許可。
東京都による最近の調査(2021年4月)でも、都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は56.6%ということです。
仕事柄、在宅勤務ができないケースももちろんあるでしょうが、テレワークは広く普及しているとみてよさそうです。
テレワークによるコミュニケーション不足
テレワークが急速に普及していく一方で、働き手にとってデメリットを感じるものも少なくないようです。
■テレワークのデメリットだと感じていること[複数回答形式]
■テレワークで感じたデメリット(労働者調査)
どちらの調査にも「運動不足になる」といった私的な内容がありますが、社内のコミュニケーション不足が業務上の課題として強く感じられていることがうかがわれます。
テレワークでもコミュニケーションを活性化する書籍3選
テレワークは雑談でうまくいく
オフィスにいるときはあったのに、テレワークを始めたらなくなったものとして、雑談が挙げられます。
著者はテレワークにこそ雑談を推奨します。
それはなぜでしょうか。
オフィスにいればいつでも社員同士で気軽に雑談できましたが、じかに顔を合わせることのないテレワークでは必然的に雑談する機会が減ってしまいます。
雑談というのは、仕事に関係するものでも関係しないものでも、仕事仲間同士の関心を高めるきっかけになったり、思わぬイノベーションの種になったりします。
雑談していると、仕事の生産性を下げるように思われますが、じつは雑談こそがテレワークにおいてチームに助け合いの風土を作るための重要な要素だと指摘します。
テレワークであっても、ワイワイガヤガヤとした雰囲気の中で協力し合う風土を作ることが望まれます。
チームビルディングの第一歩は、メンバーを仲間と認識すること。
だとすれば、チャットツールをつかって、何気なくつぶやいた一言でも、仲間と一緒に働いているという親近感を醸成するのであれば、それは大きなことでしょう。
テレワークでお互いの顔が見えず、バラバラになりがちだからこそ、チームワークを高めるために雑談が重要な要素になるのです。
現在、テレワークを行うための環境もいっそう改善されていますが、それらを踏まえたアップデート情報が、著者によって発信されています。
本書とあわせて、ご覧ください。
執筆当時から2020年へのアップデート(株式会社ソニックガーデン様)
テレワークでも現実のオフィス環境に近づける
テレワークによってコミュニケーションが希薄になっている場合、改善するポイントは「現実のオフィスに近づけること」だそうです。
そこで最低限のコミュニケーションの機会を設けるために
①Zoomを使って毎日、朝礼と終礼を必ず行う
著者の経営する会社では、朝礼でその日の仕事内容をメンバー間で確認し、終礼で各自の仕事の進捗を共有するのだそうです。
仕事の開始時刻と終了時刻もはっきりして、メリハリもつけられそうです。
②ビデオ会議に常時つないでおく
マイクは切っておいてかまいません。
スピーカーだけオンにしておけば、話しかけられたことはわかります。
それからマイクをつければよいのです。
いつでも気軽にコミュニケーションが取れる環境をつくることで、テレワーク中でも職場にいるのと同じような「つながり感」を社員には意識してもらいます。
③集中タイムを作ることも大事
そうかといって、普段干渉されにくいテレワークに緊張感を持たせる意味でも60~90分程度の集中タイムを作ることも大切です。
この時間は、ビデオをつないでおいても相談や雑談は原則禁止。
筆者は午前と午後に1回ずつ集中タイムを設けることを推奨しています。
テレワークを導入すると生産性が下がるのでは?と心配な方もいらっしゃるかもしれませんが、メリハリをつける仕掛けによって、社員が没頭できる時間を作ります。
コミュニケーションに必要な傾聴力
総務人事に携わる方にとっては、経営者や従業員だけでなく、入社希望者であったり労働組合であったりと、いろいろな場面でコミュニケーションが発生します。
とくに人事の仕事は文字通り「人」にかかわるものばかりです。
そのため、人事担当者には高いコミュニケーション能力が求められることになるわけです。
本書では、人事担当者に求められるコミュニケーションに必要な5つの心構えを挙げていますが、そのうちのひとつにまず相手の話を「聴く」、そして言うべきことを「言う」があります。
相手と良好な関係を気付くためにもまず「傾聴力」が試されます。
相手の気持ちを受け止めて、それから自分の意見を伝えるようにましょう。
たとえば、育児休業期間の延長を相談しに来た従業員のケースを考えてみましょう。
事実、認められないとしても「就業規則で決まっているから」とにべもなく追い返すようでは、従業員のモチベーションが低下しますし、このさき貢献意欲も湧かないでしょう。
とくに人事担当者に相談にやってきたということは、なにかしら「会社にわかってもらいたい」という想いがあってのことでしょう。
だからこそ、まずは相手の言い分を十分に聴いてあげます。
結果として期間延長を認めることができないとしても、相手の立場を理解し、他に取りうる手立てがないかを一緒になって考えてあげられるようと相手も納得してくれるというのです。
ひとくちに「コミュニケーション」とは言うものの、こちらから話しかけるのではなく、相手の話をしっかり聞いてあげることで生まれるコミュニケーションもある、ということでしょうか。