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社長の給料はどうやって決める?役員報酬の支給相場を見てみよう

中小企業の世間相場を集めたデータ集が根拠になる!
 

役員報酬を決めるには税法上のルールが定められていますが、じつは世間相場というものも非常に重要になります。

「自分の会社のことなのに、なぜ世間相場を?」

それにはこんな理由があったのです。

役員報酬の決め方にはいくつかのルールがあります。

たとえば役員報酬を支給する場合、次のいずれかの決め方に従わないと損金(税務上の費用)として認められません。

  1. 定期同額給与
  2. 事前確定届出給与
  3. 業績連動給与

従業員の給与であれば通常、損金に認められるものですが、役員報酬はルールに従わないといけません。ここが大きな違いですね。

「①定期同額給与」であれば、

  • 一定期間(1か月以下)ごと、定期的に支給する
  • 毎月の支給額が同じである

といったルールがあります。

簡単なルールに見えますが、裏を返すと、毎月の支給額を任意に変更してしまうと損金に認められなくなるともいえるのです。

役員報酬の支給額は自由に決められない?

社長や取締役などの役員報酬はどうやって決めるのでしょうか。
もともと社内ルールがあるのかもしれませんし、その役員の仕事内容に照らしていくらにしようと決めているかもしれません。

ないとは思いますが、世の中にはいささか悪いこと(?)を考える社長もいらっしゃるかもしれません。
たとえば、こんなふうに考えるとしたらどうでしょう。

「今年は儲かったし、税金を払うくらいなら自分の報酬にしてしまおう」

そんなことが起きないように、課税の公平という観点から、役員報酬の決め方にはいろいろなルールがあります。

もっといえば「儲けが出たから、今月は給料を上げよう」「売上が減っているから、今月は少し減らして我慢しようか」ということは、こと役員報酬についてはできないのです。

そうかといって「じゃあ、初めからいっぱいもらっておこう!」というわけにもいきません。

役員報酬が高額すぎても損金に認められません。
法人税法には「役員給与の損金不算入」という規定があります。
ここに注目してみましょう。

過大な役員給与の損金不算入とは

じつは役員報酬が損金に認められない(これを「損金不算入」といいます)ことについて、法人税法では以下のように規定されています。

(役員給与の損金不算入)法人税法 第三十四条第二項

内国法人がその役員に対して支給する給与の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

※本稿では「役員報酬」という言葉を使用していますが、平成18年度税制改正により条文見出しが「過大な役員報酬等の損金不算入」から「役員給与の損金不算入」に改まりました。

では「不相当に高額な部分として政令で定める金額」とは何でしょうか。
少し難しくなりますが、せっかくなので条文を見てみましょう。

法人税法施行令第70条にこんなことが定められています(一部抜粋)。

第七十条 法第三十四条第二項(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める金額は、次に掲げる金額の合計額とする。

イ 内国法人が各事業年度においてその役員に対して支給した給与が、当該役員の職務の内容、その内国法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況等に照らし、当該役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額

「役員の職務の内容」や「法人の収益」などに照らして相当である金額を超えてしまうといけないわけですが、今回注目していただきたいポイントを次の「役員報酬額の決定には世間相場が大事!」でご紹介します。

役員報酬額の決定には世間相場が大事!

法人税法施行令第70条で注目していただきたいのがここです。

同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況等に照らし・・・

つまり、役員報酬を決めるにあたって、規模が近い同業他社の支給額も重要な判断指標になるということです。

もちろん、役員の職務内容や企業の収益状況によっても判断されるのでしょう。

ですが「役員Aさんはこんなに働いているから(=職務内容に照らして)○○万円を支給しよう」と思っても、それが世間相場とかけ離れていたら税務調査で否認されるかもしれません。

とはいえ、よその会社様の支給実態がわかるものなのでしょうか……。

上場企業であれば、どの会社の社長はいくらだとか、誰でも知っているような有名企業の役員報酬額が報道されることがあります。
有価証券報告書にも役員報酬についての記載項目がありますね。

参考:東京商工リサーチ
20年3月期決算上場企業「役員報酬1億円以上開示企業」調査【最終】

しかしながら、中小企業の役員報酬支給相場となるとどうでしょうか。
一般公開されているデータが少ないのが現状です。

わからないままに過度に高額な(世間相場から離れた!)役員報酬を支給すると、税務調査があったときに指摘されるかもしれません。

高額すぎるので損金には認められません

税務署はいろいろな会社の申告書が手元にあるので、役員報酬相場も把握していそうですよね。

中小企業の役員報酬支給実態をのぞいてみよう!

役員報酬の支給額決定にあたって、世間相場を気にするのも大事なこと!

というわけで、なかなか手に入る機会のない、中小企業の役員報酬支給実態について、全国の中小企業を対象にアンケート調査を実施しました。

  • 社長の支給額は? 会長の支給額は? 常務なら?
  • 業種はなんでしょうか? 製造業それとも小売業?
  • 会社規模はどれくらい? 会社の従業員数は?

──などなど

役員報酬の支給額決定の判断材料になる、同業他社の個別データ・平均値など、役員報酬決定の参考になる各種データをまとめています。

「役員報酬・賞与・退職金」「各種手当」中小企業の支給相場【2023年版】

それでは、本書のなかから少しだけ役員報酬の支給相場をのぞいてみましょう。

社長の役員報酬の平均支給額は以下のとおりでした。

社長の役員報酬
<画像クリックで拡大>

社長の役員報酬は平均146.6万円

ただし上は665万円から下は25万円までと大きな開きがありますので、平均値が一部の支給額に引っ張られているようです。
とはいえ、中央値が120万円という調査結果も出ていますから、まずはこちらを基準にしてみればよいかもしれません。

さらに「業種別に見たら相場はどのくらいだろう」「事業規模によって差はあるのだろうか」というように読み進められるのが、本書『「役員報酬・賞与・退職金」中小企業の支給相場』です。

企業ごとの個別データも多数収録! その内容は

「役員報酬・賞与・退職金」「各種手当」中小企業の支給相場

でお確かめください。

役員報酬・退職金の支給相場、アンケートから判明

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