正常営業循環基準・1年基準とは何かを簡単解説
流動資産と固定資産を分ける2つのルール流動資産と固定資産はどうやって分けるのか?
貸借対照表の右側の資産には流動資産と固定資産が記載されます。
貸借対照表の左側には負債が記載されますが、こちらにも流動負債と固定負債の2種類の負債があります。
ここでいう「流動」と「固定」の違いはどこで区別されるのでしょうか。
そこには明確な基準があります。
結論からいえば、以下のふたつの基準です。
- 正常営業循環基準
- 1年基準(ワンイヤー・ルール)
このふたつのどちらかに該当すれば、流動資産または流動負債です。
逆に、どちらの基準にも該当しなければ、固定資産または固定負債になります。
正常営業循環基準とは
まず、第一のルールが「正常営業循環基準」です。
先にこちらの基準で判断します。
正常営業循環基準は文字通り「正常な営業活動のサイクルに入っているかどうか」で考えます。
一般に会社の営業活動は、モノを仕入れ、支払い、商品を販売し、代金を回収するという流れで進みます。
そして新たに得た資金で、再びモノを仕入れ、販売していくというサイクルをまわしていきます。
このサイクルに入っていれば流動資産あるいは流動負債に該当します。
◆正常営業循環基準に基づく主な流動資産・流動負債流動資産 | 流動負債 |
---|---|
・現金 ・受取手形 ・売掛金 ・棚卸資産 | ・支払手形 ・買掛金 ・前受金 |
1年基準(ワンイヤールール)とは
会社の事業全体で見ると、営業活動だけ行っているわけではありません。
つまり、正常営業循環基準に当てはまらない非営業活動があるわけです。
この非営業活動のなかにも流動資産や流動負債に当てはまるものが含まれています。
それを判断する基準が「1年基準」※です。
※ワンイヤールールと呼ぶこともあります。
ここでいう1年とは「決算日の翌日から数えて1年以内」という意味です。
決算日の翌日から数えて1年以内に現金化される資産は流動資産に該当します。
また、決算日の翌日から数えて1年以内に支払わなければならない負債なら流動負債です。
1年基準で判定される流動資産・流動負債には、たとえば下表のようなものがあります。
◆1年基準に基づく主な流動資産・流動負債流動資産 | 流動負債 |
---|---|
・短期貸付金 ・未収入金 ・有価証券 | ・短期借入金 ・未払費用 ・賞与引当金 |
ところで、ここでは短期貸付金/短期借入金と書きました。
同じ貸付金でも、返済されるまで1年を超えるものは固定資産にはいります。
この場合「長期貸付金」といわれます。
同様に、返済するまで1年を超える借入金は「長期借入金」として区別され、固定負債に含められます。
このように、貸付金/借入金も1年基準で区別されるのがわかります。
まずは正常営業循環基準で判断してから!
流動資産と固定資産(流動負債と固定負債)を分類するには、まず正常営業循環基準で判断します。
そのあと、正常営業循環基準に当てはまらないものを、さらに1年基準でふるいにかけます。
逆にいうと、
●正常営業循環基準に当てはまらず
●1年を超えて保有される
資産または負債はそれぞれ、固定資産であり、固定負債であるということになります。