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SOGIハラとは? これからのハラスメント防止措置に欠かせない視点

社員誰もが働きやすい環境に!
 

中小企業でも2022年からパワーハラスメントの防止措置をとることが義務付けられます。

たんにパワーハラスメントだけが問題なのではなく、セクシャルハラスメントやマタニティハラスメントなど、どんなものであれ「ハラスメントをしない」という姿勢が求められます。

パワハラ、セクハラに限らず「○○ハラ」と言われるハラスメントは多々ありますが、ここではSOGIハラとは何かに注目して追っていきます。

SOGIハラとは

SOGIハラは「ソジハラ」と読みます(ソギハラとも)。

この「SOGI」は、性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)の頭文字をとった略称です。

性的指向(Sexual Orientation)
恋愛または性愛がいずれの性別を対象とするか。異性を好きになる人もいれば同性を好きになる人もいる。また、性別を意識せず好意を持つ人や、性別によらず恋愛感情等を持たない人もいる。
性自認(Gender Identity)
自己の性別についての認識のこと。生物学的な性と性自認が異なる人、あるいは身体的な性に違和感を持つ人もいる。身体的な性と性自認が一致せず、困難を抱える場合に対して、医学的な診断の結果、性同一性障害と診断されることがある。

参考:令和元年度 厚生労働省委託事業 職場におけるダイバーシティ推進事業 報告書
「Ⅱ.職場と性的指向・性自認をめぐる現状」

いわゆるLGBTへの理解が深まるなかで、よく使われるようになった表現ですが、特定の性的指向や性自認に限ったものではなく、誰もが持っているSOGIについてのハラスメントを防止しようというものです。

先般のオリンピックに際して、東京都オリンピック憲章に基づき、東京都が「東京都性自認及び性的指向に関する基本計画」を策定したことをご存じの方もいらっしゃることでしょう。

企業においてもハラスメント対策が求められるなか、世の流れとしても、防止すべきハラスメントのひとつとしてSOGIハラは見落とせません。

アウティングにも要注意!

いわゆる性的マイノリティの人々にとっては、カミングアウトによる偏見を恐れ、自分のSOGI(性的指向や性自認)を言い出せないことも多いようです。

なかには会社がカミングアウトを強制するケースもあるようですが、それもハラスメントとして控えるべきです。

特にアウティングには注意が必要です。

アウティングとは、ここでいうSOGI=性的指向・性自認を本人の了解を得ずに暴露することを意味します。

LGBTなどの言葉が一般的になってきたとはいえ、偏見などから性的指向や性自認について言い出すことができず、公になることを不安に感じる人はまだまだ多いものです。

またアウティングが当事者の異動や退職勧奨などの不利益につながるおそれもあります。

第三者にとってはたいしたことでないように思えても、たとえば

職場においては、結婚しているか、子供がいるか等、プライベートの話をする機会が多い。そうした場面では、性的マイノリティ当事者は、自身の性的指向・性自認を偽って会話をしなければならず、常に緊張を強いられるため、ストレスにつながる

令和元年度 厚生労働省委託事業 職場におけるダイバーシティ推進事業 報告書
「Ⅱ.職場と性的指向・性自認をめぐる現状」

ということなので、安易に考えず、当事者の気持ちに配慮しつつ、正しい理解のもと対応する必要があります。

たとえ本人に悪気がなかったとしても、不用意なアウティングが当事者を傷つけることになりかねません。

現にアウティングが元となった痛ましい事件があったことを報道で目にした方も多いのではないでしょうか。

いずれにせよ「ハラスメントの内容、方針等の明確化と周知・啓発」は企業が講ずべき措置として求められていますので、社内での指導・教育の重要性大といえます。

パワハラ防止対策のなかで考えるSOGIハラ

SOGIハラにせよアウティングにせよ、指針上ではパワハラの6類型のうち「精神的な攻撃」「個の侵害」に含まれることが明示されています。

【パワハラの6類型】
  1. 身体的な攻撃
  2. 精神的な攻撃
  3. 人間関係からの切り離し
  4. 過大な要求
  5. 過小な要求
  6. 個の侵害

精神的な攻撃 ※強調は編者による
①人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む。
②業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと。
③他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと。
④相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相手を含む複数の労働者宛てに送信すること。

個の侵害 ※強調は編者による
①労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりすること。
②労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること。

参照 事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針

パワハラかどうかにかかわらず、どのようなハラスメントであっても防止すべきでしょう。

とはいえ、SOGIハラがパワハラの6類型に含まれている以上、パワハラ防止措置を講じるにあたっては、SOGIハラの防止も視野に入れておくことが望まれるのではないでしょうか。

なお、厚生労働省によるモデル就業規則でも、パワハラやセクハラと並んで「第15条 (その他あらゆるハラスメントの禁止)」としてSOGIハラの禁止を明記しています。

こちらもご参考にしてください。

(その他あらゆるハラスメントの禁止)
第15条 第12条から前条までに規定するもののほか、性的指向・性自認に関する言動によるものなど職場におけるあらゆるハラスメントにより、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。

厚生労働省:モデル就業規則(令和3年4月)

SOGIハラによる労災認定・訴訟のリスク

性自認が「女性」であるにもかかわらず、男性扱いされたことにより、パワハラを訴える、あるいはうつ病になる等から労災認定された事例も見られるようになりました。

【参考】
プレカリアートユニオンブログ(2021-09-15)
SOGIハラの労災申請についてトランス女性の組合員と記者会見を行いました

もちろん「リスクがあるから避ける」ということではなく、どんなものであれ不当なハラスメントは防止すべきという観点から対応すべきでしょう。

ただ、従来のようなパワハラ、セクハラとは違った形で、さまざまな問題が起こりうるということは考えておいた方がよいのかもしれません。

多様性・ダイバーシティという言葉が流行してだいぶ経ちました。
どのような社員であれ、ハラスメントを受けるようなことのないよう、企業には防止措置を整備することが求められています。

どんな行動がセクハラに当たるのか。事例から考えるセクハラ防止策

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