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当座比率でシビアに資金繰り余力を分析する

貸借対照表から調べる安全性分析
 

当座比率とは

「当座比率」は流動比率よりもさらにシビアに資金繰りの余力を見るときに使われます。

当座比率=当座資産÷流動負債×100(%)

ここでいう「当座資産」は、流動資産のなかでもさらに現金化しやすい資産をいいます(右図)。

逆に当座資産から除外される流動資産というと、棚卸資産が挙げられます。
棚卸資産とは、具体的には商品・製品、原材料、仕掛品などのことです。

流動資産

●当座資産に該当するもの
・現金及び預金
・受取手形
・売掛金
・有価証券 など

●当座資産に該当しないもの
・棚卸資産 など

当座比率によって、流動資産のなかでもさらに換金性の高い当座資産だけで流動負債を返済できるだけの資金力があるかどうかを見ます。
流動比率が100%を超えていたとしても、当座比率が100%未満だとしたら、その会社の安全性はやや低いと判断できるでしょう。

当座比率を計算してみよう

では、以下の貸借対照表を例にとって計算してみましょう。

貸借対照表

まずは流動資産と流動負債の内訳を確認します。

流動資産の内訳ですが、ここでは5つ掲載されています。
このうち、当座資産に含まれないのは「棚卸資産300」ですから、この分だけ差し引きます。
※当座資産=流動資産1,440-棚卸資産300=1,140

当座比率=1,140÷950×100(%)=120%

資金余力はそれなりにありそうですね。

業種ごとの当座比率の目安

当座比率も100%を超えていることが望ましいでしょう。

ただし、業種によって
・棚卸資産の割合が大きい
・現金商売で売掛金が少ない
などの理由から、他業種と比べて当座比率が大きくなったり小さくなったりもします。

そのため当座比率も何%を超えていることが絶対とはいえませんが、こちらも参考までに流動比率と同じ資料から、当座比率を算出してみました。

当座比率の計算式:当座資産(流動資産-棚卸資産)÷流動比率×100(%)

業種 当座比率 流動比率(参考)
全業種 138% 168%
建設業 148% 179%
製造業 151% 190%
情報通信業 227% 245%
運輸業、郵便業 156% 160%
卸売業 134% 159%
小売業 111% 147%
不動産業、物品賃貸業 98% 151%
学術研究、専門・技術サービス業 162% 168%
宿泊業、飲食サービス業 91% 97%
生活関連サービス業、娯楽業 141% 148%
サービス業(他に分類されないもの) 174% 186%
政府統計の総合窓口(e-Stat)中小企業実態基本調査:令和2年確報(令和元年度決算実績)から作成
※業種ごとに、流動資産および流動負債の総額から算出

比較できるよう、流動比率も再掲してみました。
こうしてみると棚卸資産があるかどうかで業種ごとの差が出ているのがわかります。
「運輸業、通信業」や「宿泊業、飲食サービス業」などは流動比率と当座比率の差があまりありませんが、「建設業」「製造業」では大きな差が出ているようです。

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