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流動比率で流動資産と流動負債のバランスを見る

貸借対照表から調べる安全性分析
 

流動比率の計算式

貸借対照表を使った安全性分析のなかでもっともポピュラーなのが「流動比率」です。
流動比率では流動資産と流動負債のバランスを見ます。

流動比率=流動資産÷流動負債×100(%)

流動資産とは1年以内に現金化できる資産のことです。
現金や預金はもちろん、売掛金や短期で売買する有価証券、あるいは会社で販売する商品などが流動資産に含まれます。

一方、流動負債とは1年以内に支払いが発生する負債のことです。
たとえば買掛金や支払手形が流動負債に当たります。
または1年以内に返済すべき借入金や従業員預り金(社員から徴収した源泉所得税や社会保険料)なども流動負債に該当します。

いずれにしても短期間で受け取ったり支払ったりする資産や負債をさします。

この流動資産・流動負債のバランスを見ることで、会社の短期的な支払い余力がわかります。
そのための指標が流動比率なのです。

では、下記の貸借対照表サンプルを使って計算してみましょう。

貸借対照表


流動資産と流動負債はそれぞれ、いくらでしょうか。

流動資産と流動負債

流動資産が合計1,440、流動負債が合計950ですから、流動比率はこうなります。

流動比率=1,440÷950×100(%)=152%

流動比率で見る会社の安全性の度合い

流動資産の割合の方が大きければ、近日中に返済すべき負債を返済するだけの資金余力があるということがわかります。
言いかえるなら、流動比率が高ければ高いほど、すべての返済を終えたとしても手許に資金が残っていると考えらるでしょう。

したがって流動比率が高いと、自由に使える資金余力が大きいということですから、資金繰りという点で会社の安全性は高いといえます。

流動比率の高い・低いだけでみても、このような関係が成り立ちます。

  • 流動比率が100%超=流動資産>流動負債
    ⇒ 資金余力を確保しているから安全
  • 流動比率が100%未満=流動資産<流動負債
    ⇒ 返済原資が不足しているので危険

流動比率の目安を調べる

では、流動比率はどれくらいあるのが望ましいのでしょうか。
かつては200%が目安といわれることもありました。
現在はそこまで大きくなくとも、120%あればよいとはいわれているようです。

参考までに直近の統計資料から、業種別の流動比率を割り出してみました。
あくまで概算ですので、比較参照資料としてご覧ください。

業種流動比率
全業種168%
建設業179%
製造業190%
情報通信業245%
運輸業、郵便業160%
卸売業159%
小売業147%
不動産業、物品賃貸業151%
学術研究、専門・技術サービス業168%
宿泊業、飲食サービス業97%
生活関連サービス業、娯楽業148%
サービス業(他に分類されないもの)186%
政府統計の総合窓口(e-Stat)中小企業実態基本調査:令和2年確報(令和元年度決算実績)から作成
※業種ごとに、流動資産および流動負債の総額から算出

流動資産-流動負債=正味運転資本

ちなみに流動資産から流動負債を引いた残りの額を「正味運転資本」といいます。

正味運転資本=流動資産-流動負債

流動比率は流動資産と流動負債の割り算でしたが、正味運転資本は流動資産と流動負債の引き算で計算します。

正味運転資本とは、流動負債をすべて返済したとして、そのあと自由に使うことのできる運転資本のことです。
いいかえると正味運転資本の額が大きいほど、短期的な返済を気にせず自由に使える資金余力が大きいということになります。

つまり、短期的な資金繰りにゆとりがあると判断できます。

流動比率は割合(%)で示しましたが、正味運転資本は実額で示します。
資金繰りの安全性を金額で把握したいときはこちらも参照しましょう。

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