損益計算書をもとに、売上高総利益率を計算してみよう
会社の粗利幅はどれくらい?業種別目安とも比較してみよう会社が本当に儲かっていたのかそうでないかを判断するには、どうしたらよいでしょうか。
じつは損益計算書からいくつか数字をピックアップして割り算するだけでも、会社の収益性を判断することができます。
ここでは売上総利益率から会社の収益性を調べてみましょう。
売上総利益率とは
会社の売上高から売上原価を引くことで、売上総利益が計算されます(右図参照)。
いわゆる粗利です。
損益計算書でも最初に出てくる利益として注目されます。
売上高に対して、この売上総利益がどれくらいを占めるのかパーセンテージで表したのが売上高総利益率(粗利益率)です。
売上高総利益率=売上総利益÷売上高×100(%)
売上に対する利益幅を表すのですから、もちろん高い方がよいということになります。
逆に売上高総利益率が低いなら、儲け幅が少ないということでもあり、原価が大きいということでもあります。
売上総利益率は会社がどれだけ効率的に利益を上げているか、その収益性を表す指標のひとつです。
いくら売上が高くても儲けにつながっていなければ意味がありません。
そこで、このような指標が役に立つというわけです。
- 例1:売上高30億円、売上総利益9億円 ⇒ 売上総利益率30%
- 例2:売上高25億円、売上総利益10億円 ⇒ 売上総利益率40%
事業規模にもよるので、他社との比較は慎重に行いましょう。
とはいえ、自社を数年単位で比較する場合には利益効率の比較に使えそうです。
売上高原価率とは表裏一体
ところで、売上総利益は「売上高-売上原価」です。
ということは、売上高総利益率の逆数が売上原価率になります。
売上高原価率=100-売上高総利益率(%)
もしくは、きちんと計算するなら、こちらです。
売上高原価率=売上原価÷売上高×100(%)
以上からわかるとおり、売上高原価率でも売上高総利益率でも、どちらかを計算すればもう片方も計算できます(100で引けばよいので)。
粗利と原価の増減のどちらを知りたいのかに合わせて計算してみましょう。
売上高原価率が高い(=売上高総利益率が低い)のであれば、材料費や仕入価格に問題がありそうです。
業種別の売上総利益率の目安は?
それでは、業種別の売上高総利益率の目安を調べてみましょう。
ここでは、政府統計の総合窓口(e-Stat)で公開されている中小企業実態基本調査に掲載されている金額を使って計算してみます。
これら2年間の調査実績をもとに業種単位で比較してみました。
業種 | 令和3年確報 | 令和2年確報 |
---|---|---|
業種全体(合計) | 25.6% | 25.4% |
建設業 | 22.5% | 23.0% |
製造業 | 20.6% | 21.0% |
情報通信業 | 46.8% | 42.4% |
運輸業、郵便業 | 24.4% | 22.4% |
卸売業 | 16.0% | 15.2% |
小売業 | 29.8% | 30.9% |
不動産業、物品賃貸業 | 42.1% | 42.0% |
学術研究、専門・技術サービス業 | 52.7% | 52.2% |
宿泊業、飲食サービス業 | 61.2% | 67.2% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 36.5% | 35.0% |
その他サービス業 | 42.4% | 39.6% |
全業種合算でみると、売上高総利益率はおよそ25%ほどでした。
ただし、業種別に見ると上は60%台から下は10%台まで大きな開きがあることがわかります。
この2年間の比較だと、パーセンテージで見るかぎり、売上高総利益率に差はあまりなさそうです。