連結納税とどう違う?グループ通算制度で申告はこう変わる
企業グループの申告・納付が改正に!目次
グループ通算制度の概要
令和2年(2020年)度の税制改正により、連結納税制度が見直され、グループ通算制度へ移行することとされました。
グループ通算制度は令和4年(2022年)4月1日以後開始事業年度から適用されます。
完全支配関係にある企業グループ内の各法人を納税単位とし、各法人が個別に法人税額を計算し、申告を行います。そのなかで、損益通算等の調整を行うことになります。
後日、修正申告や更正をすることになった場合には、原則として他の法人の税額計算に反映させない仕組み(遮断措置)も盛り込まれています。
また、グループ通算制度の開始・加入時の時価評価課税および欠損金の持込み等については、組織再編税制と整合性の取れた制度に設計されているのも特徴的です。
グループ通算制度と連結納税との違い
法人税の申告手続き──通算子法人も申告が必要になる
連結納税制度では、企業グループ全体をひとつの納税単位としています。
そのため、グループ内の全法人を一体として計算した法人税額等を親法人が申告することとなっていました。
一方、グループ通算制度では原則、その適用を受ける通算グループ内の各法人が個別に法人税額の計算および申告を行います。
ただし、申告については親法人が一括して行うことも可能です。
また、税務調査については親法人だけでなく、各法人が受けることになります。
法人税の電子申告の義務化
連結納税制度では親法人が資本金1億円超であれば電子申告しなければなりませんでした。
グループ通算制度において通算法人は、資本金の額等が1億円以下であるか否かにかかわらず、電子申告義務化の対象です。
したがって親法人も子法人も、法人税および地方法人税を電子申告で行わなければなりません。
なお子法人の法人税申告書については、親法人が電子署名してe-Taxで提出することができます。この場合、子法人は申告書の提出が不要です。
親法人による法人税の一括納付
原則、親法人と各子法人がそれぞれ納付を行います。
なお、e-Taxを利用した納付(ダイレクト納付)により、親法人が一括して子法人の分も納付することができます。
適用税率
これまでの連結納税制度では、親法人の税率が適用され、中小法人の軽減税率の適用対象は連結所得金額のうち年800万円までとされていました。
今後、グループ通算制度では、通算グループ内の各法人が個別に申告することもあり、各法人の税率が適用されます。
中小法人の軽減税率の適用対象所得金額については、年800万円を各所得法人の所得金額の比で配分します(下図参照)。
ただし、グループ通算制度においては、通算グループ内のすべての通算法人が中小法人に該当しなければ軽減税率を適用できません。
遮断措置(修正申告の簡便化)
連結納税制度では、グループ内の1社でも修正申告や更正が生じた場合、その修更正をグループ内他法人の所得金額および法人税額の計算にも反映させる仕組みとなっていました。
つまり、グループ全体での再計算が必要だったわけです。
一方、グループ通算制度では原則として、当初の確定申告書に記載した所得金額または欠損金額を固定したまま変更しません。
そのため、修正申告や更正をすべき法人があれば、その法人だけが単体で是正します。
他の法人の所得金額および法人税額の計算には影響させず、損益通算の再計算も行わないません。これが遮断措置です。
ただし、当初の申告時に通算グループ全社が欠損であった場合は注意が必要です。
この場合、修正申告または更正をすることで、その修正申告または更正のあった通算法人に所得が生じるなら、グループ全体で損益通算の計算をやり直さなければなりません。
また、意図的に所得を過少に申告した場合などにも、損益通算の計算をやり直します。
平成4年創業、平成19年税理士法人化。スタッフ数59名(グループ合計98名)、クライアント数約1000件。大阪市中央区に本社、東京都千代田区に支社。事業承継、自社株対策コンサルティングを得意とし、金融機関等のセミナー講師は年間40件にのぼる。
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