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電子帳簿保存法Q&A「お問合せの多いご質問」の内容をわかりやすくご紹介!

税務調査で提出するファイル形式は? 取引金額は税込で記載する?それとも税抜?
 

2022年1月から電子取引によるデータ保存の義務化が始まります。

すでに開始まで2か月を切っており、国税庁にも多くの問合わせが届いているようです。

そこで11月12日、国税庁で掲載しているQ&Aに「お問合せの多いご質問(令和3年11月)」が追加されました。

「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~」に関する「お問合せの多いご質問(令和3年11月)」を掲載しました(PDF/234KB)(国税庁)

詳細はこの資料をご覧いただくとして、ここでは実務上どの会社でも出くわしそうな疑問をピックアップして主だったお問合わせをご紹介します。

「ダウンロードの求め」に応じる場合の提出の仕方

【追加問】
「ダウンロードの求め」に応じることができるようにしておく場合の当該電磁的記録の提出について、提出の際のデータの形式や並び順について決まりがあるのでしょうか。また、保存媒体自体についても提示・提出の必要はあるのでしょうか。

【回答】
税務調査の際に税務職員が確認可能な状態で提供されれば形式や並び順は問いませんが、通常出力できるであろうファイル形式等で提供される必要があります。また、「ダウンロードの求め」に応じることができるようにしておく場合には、保存媒体の提示・提出に応じることができるようにしておくことまでは含まれていませんが、その保存媒体についても、質問検査権に基づく確認の対象となる場合があります。

お問合せの多いご質問(令和3年11月)

まず確認しておきたいのは今後、税務調査があったときに、電子保存した請求書等のダウンロードを税務調査官から求められることがあるということです。

このときのデータ形式を「通常出力できるであろうファイル形式等」で提供するようにします。

税務調査に関わらず利用することを考えるとPDFなどの一般的なファイル形式がよいかもしれませんが、自社で構築した独自システムで管理している場合はファイル形式をあらかじめ確認しておいてはいかがでしょうか。

ちなみに税務調査等で提出を求められる資料について令和4年1月4日から、PDF形式のみ、1送信当たり最大136ファイル・合計最大8MBにて、e-Taxを使って提出することができるようになりました。

「税務調査等で提出を求められた資料(調査関係書類)のe-Taxによる提出について」(e-Taxホームページ:お知らせ)

取引金額の記載は税抜か税込か

【追加問】
検索要件の記録項目である「取引金額」については税抜、税込どちらとすべきでしょうか。

【回答】
帳簿の処理方法(税込経理/税抜経理)に合わせるべきと考えられますが、受領した国税関係書類に記載されている取引金額を検索要件の記録項目とすることとしても差し支えありません。

お問合せの多いご質問(令和3年11月)

電子保存したファイルを検索しやすいようにするため、国税庁が挙げている方法として、取引先・取引年月ごとに設定したフォルダのなかに「取引日付_取引先名_取引金額.pdf」等といった名前をつけたファイルを保存する方法があります。

このときの「取引金額」について税抜とするか税込とするかということです。
基本的には税抜経理方式か税込経理方式か自社の処理方法に合わせるということなので、社内でファイル名を設定することになる方々で示し合わせておきましょう。

たとえば2022年4月15日付のABC株式会社の請求書で、金額が100,000円(税抜)だった場合はこうなるということでしょう。

  1. 税抜経理方式
    20220415_ABC株式会社_100000.pdf
  2. 税込経理方式
    20220415_ABC株式会社_110000.pdf

なお、税務調査では帳簿の確認が基本であることから、本質問の解説には「帳簿と同じ金額で検索できるようにしておくべきと考えられます」とも記載されています。

取引金額が決まっていない場合のファイル名

【追加問】
例えば単価契約のように、取引金額が定められていない契約書や見積書等については、検索要件における「取引金額」をどのように設定すべきでしょうか。

【回答】
記載すべき金額がない書類については、「取引金額」を空欄又は0円と記載することで差し支えありません。ただし、空欄とする場合でも空欄を対象として検索できるようにしておく必要があります。

お問合せの多いご質問(令和3年11月)

ひとつ上の質問とは異なり、そもそも記載金額がない場合どうするかという質問です。

この場合、ファイル名を「取引日付_取引先名_取引金額.pdf」としたときの「取引金額」を空欄にするか、あるいは0円として記載しておくということです。

例:取引日付_取引先名_0円.pdf

いちど印刷したものをスキャナ保存してもよい?

【追加問】
電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、一度、出力して書面にしたものを、スキャナ保存することは認められますか。

【回答】
電子取引の取引情報に係る電磁的記録を出力した書面について、スキャナ保存することは認められません。

お問合せの多いご質問(令和3年11月)

電子帳簿保存法において紙保存はそもそも認められないので、いったん印刷したものをスキャナ保存するのでは、対象にはならないということです。

電子取引の取引情報に係る電磁的記録に該当するものについては、受け取った通り、そのまま電子保存しなければなりません。

ただし、電子帳簿保存法によるデータ保存とは別に、社内事情により印刷して紙で保存することまで禁じられているわけではありません。

書面が正本、電子データが副本の場合は?

【追加問】
電子取引で受け取った取引情報について、同じ内容のものを書面でも受領した場合、書面を正本として取り扱うことを取り決めているときでも、電子データも保存する必要がありますか。

【回答】
電子データと書面の内容が同一であり、書面を正本として取り扱うことを自社内等で取り決めている場合には、当該書面の保存のみで足ります。ただし、書面で受領した取引情報を補完するような取引情報が電子データに含まれているなどその内容が同一でない場合には、いずれについても保存が必要になります。

お問合せの多いご質問(令和3年11月)

請求書は本来ひとつであることから、正本がどちらかによるということになります。

したがって正本を書面にすると決めているのであれば、電子データが副本になるので、電子データを保存しておく必要はありません。

ただし電子データの方に、正本である書面に記載されていない補足情報が含まれている場合は電子データも保存しておかなければなりません。
書面であれ電子データであれ、取引情報の内容はよくよく内容を確認しておくよう注意しましょう。

メールの内容をPDFにできるか

【追加問】
自社のメールシステムでは受領した取引情報に係る電子データについて検索機能を備えることができません。その場合に、メールの内容をPDF等にエクスポートし、検索機能等を備えた上で保存する方法でも認められますか。

【回答】
認められます。

お問合せの多いご質問(令和3年11月)

「当該メールに含まれる取引情報が失われないのであれば」という条件付きですが、PDF等に変換することも認められるようです。

一般に流通しているメールソフトでもOutlookやThunderbirdをはじめとして多数あります。

それぞれに特徴があるので、場合によっては自社のメールソフトをご確認のうえ、自社にとって検索しやすいかどうかを調べておくのもよいかもしれません。

参考リンク

令和3年度税制改正による電子帳簿保存法(いわゆる電子取引制度)について、国税庁でも解説・Q&A・各種規程サンプルなどを掲載しています。

間近に迫った電子取引によるデータ保存の義務化に向けて、こちらもご参照ください。

令和3年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しについて
・改正の概要
・関係法令 など

電子帳簿保存法Q&A(一問一答)~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~
・電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】
・電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】
・電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】

参考資料(各種規程等のサンプル)
・スキャナによる電子化保存規程
・索引簿の作成例
・電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程(法人の例) ほか

電子帳簿保存法関係パンフレット・過去の主な改正(2021.11.18追記)
・はじめませんか、帳簿書類の電子化!
・はじめませんか、書類のスキャナ保存!
・電子取引データの保存方法をご確認ください

国税庁動画チャンネル

教えて!!令和3年度改正 電子帳簿保存法

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