×

記事検索

商品検索

成果の出る目標管理(MBO)制度運用のポイント

適切な評価と生産性向上に活かす

目標管理とは何か

目標管理の定義
人事評価としての目標管理
難易度の設定
負荷係数の設定
ウェイトの設定
達成率

目標管理のメリット・デメリット

ひとり1時間あたり3,119円収入が増える
評価への公正感が増す
上司と部下の葛藤が減る
上司の負担は重い

成果を上げるためのポイント

企業は何を目標にすべきか
目標のチェックポイント
労働生産性を56%上げる方法
話し合って目標を設定する
目標の達成率を2.2倍にする方法
「守りの仕事」の目標は
上司は部下を支援する
長考より行動を

目標管理とは何か

目標管理の定義

目標管理を研究している奥野明子博士は目標管理(MBO:Management by Objectives)について、次の5つの条件を備えた管理プロセスであると定義しています(『目標管理のコンティンジェンシー・アプロ―チ』2004年、白桃書房)。

  1. 全社目標から個人目標までの、目標の連鎖が成り立っている
  2. 上司と部下が話しあって目標を設定する
  3. 目標は明確であり、達成期限があり、目標管理シートに記述される
  4. 上司は部下を支援する
  5. 上司と部下が面談を行って達成度を評価する

長い定義ですが、たしかにこれらのうちどれひとつ欠けても目標管理とはいえません。

人事評価としての目標管理

目標管理は大企業で94%、中小企業でも82%が導入しています。
いまや人事評価といえば目標管理であるといっても差し支えありません。

評価制度としての目標管理は、基本的に目標の達成度で評価します。
しかしたんに達成率だけで評価すると達成率をあげようとして、やさしい目標や低い目標を設定することがあります。また目標はすべてが同様の重要度を持つわけではなく、重要度に軽重があります。

このため筆者は通常、次のように難易度と負荷、ウェイトを加味して評価点を算出することを推奨しています(表1)。

評価点=各目標の「難易度×負荷係数(%)×ウェイト(%)×達成率(%)」の合計点

 なお、難易度、負荷係数、ウェイトはそれぞれ、評価する人である上司が設定します。

表1:評価点は合計で120.0点

  目標1 目標2 目標3 目標4 合計
目標

取扱売上高
1億500万円

取扱粗利益
4,000万円
新規顧客
開拓10件
担当顧客
リピート率90%
 
難易度 120 120 130 90  
負荷係数 105% 105% 100% 100%  
ウェイト 33% 27% 17% 23% 100%
達成率 110% 105% 95% 85%  
評価点 45.7点 35.7点 21.0点 17.6点 120.0点

難易度の設定

難易度はその人が感じる難しさ、あるいはその人にとっての難しさではなく、客観的に判断された難しさです。体操競技やフィギュアスケートの難易度点と同じことです。

難易度は別表1のような難易度設定基準書を作成して設定します。

別表1:難易度認定基準書(PDF 187.5KB)

ところで、せっかく難易度設定基準書があるにもかかわらず、「レベル6=たいへん難しい、レベル5=難しい、レベル4=普通、・・・」というように主観的に難易度を設定する評価者がいますが、これでは評価者として失格です。
評価には必ず客観的な基準を使用してください。

負荷係数の設定

負荷係数は目標の量的な負荷を表します。
「取扱売上高1億円」という目標と「取扱売上高8,000万円」という目標では、当然「1億円」の方が、価値があります。

負荷係数はこのようなことを反映します。
AさんとBさんの間で目標の量にx倍の違いがあるとしたら、負荷係数にもx倍の違いを持たせます。

負荷係数は、標準的な負荷量を100%とした場合の指数です。
標準負荷量が「個人取扱売上高1億円」であるとき、「個人取扱売上高1億500万円」という個人目標を設定したとしたら、負荷係数は1.05億円÷1億円=1.05(105%)になります。

では標準負荷量をどうやって算出するかというと、「部門目標÷対象者数」です。
部門目標が「○○営業所取扱売上高5億円」であり、その営業所に5人の営業パーソンがいるとしたら、標準負荷量は5億円÷5人=1億円です。
実際には、標準負荷量は社員等級に応じて傾斜配分する必要があります。1等級社員も5等級社員も同列に扱うのは不公平です。

傾斜配分の具体的な対策については、煩雑になるのでここでは割愛します。

ウェイトの設定

ウェイトは各目標の重要度の違いを表します。
次のように「このなかでいちばん重要な目標の重要さを100とすると、この目標の重要さは○○だ」という「重要度指数」をつけ、そのシェアをもってウェイトとします。
この場合の重要さとは、本人にとってではなく部門側からみた重要度です。

表2:ウェイトの決め方

  目標1 目標2 目標3 目標4 合計
目標

取扱売上高
1億500万円

取扱粗利益
4,000万円
新規顧客
開拓10件
担当顧客
リピート率90%
 
重要度
指数
100 80 50 70 300
ウェイト 33% 27% 17% 23% 100%

達成率

達成率は、売上高や粗利益のように数字が大きいほど好ましいものについては「実績値÷目標値」であり、不良品率や残業時間など、数字が小さいほど好ましいものについては「目標値÷実績値」です。

>>次のページでは目標管理のメリット・デメリットを考えます

1 2 3
お買い物カゴに追加しました。