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役員給与の取扱いは

 

従来、役員給与は、報酬・賞与・退職給与に区分して取り扱われていたが、平成18年4月の改正で、これらはひとまとめにされ、次の3つの要件に該当しないものは、原則として損金不算入となる。また、過大役員給与は、損金不算入となる。

従来、役員の給与は、支給形態が定時定額であるものを「報酬」とし、それ以外に臨時的に支給されるものを「賞与」として区分、原則として、報酬については損金算入、賞与については損金不算入の扱いとなっていた。

それが、平成18年4月の税制改正により、役員報酬・賞与・退職金は役員給与としてひとまとめにされ、退職給与、新株予約権によるもの、これら以外で使用人兼務役員に対して支給する給与を除き、定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与にのいずれにも該当しないものの額は、損金の額に算入しないこととなっている。

損金算入となる役員給与

損金算入となる役員給与としては、次に掲げる定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与がある。

定期同額給与

支給時期が1月以下の一定期間ごとであり、かつ、各支給時期における支給額が同額である給与および次に掲げる給与が該当する。

  1. 定期給与で、支給時期が1月以下の一定期間ごとであり、かつ、事業年度の開始日の属する会計期間の開始日から3か月以内までに改定された場合の次の定期給与
    ・改定前の各支給時期における支給額が同額である定期給与
    ・改定以後の各支給時期における支給額が同額である定期給与
  2. 定期給与の額につき、その法人の経営状況が著しく悪化したこと、その他これに類する理由により減額改定がされた場合のその事業年度の改定前の各支給時期における支給額および改定以後の各支給時期における支給額がそれぞれ同額である定期給与
  3. 継続的に支給される経済的な利益のうち、供与される利益額が毎月おおむね一定であるもの

事前確定届出給与

役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与(定期同額給与、利益連動型給与を除く)で、株主総会等でその給与についての決議をした日から1月を経過する日と会計期間4月経過日とのいずれか早い日までに、納税地の所轄税務署長に、定められた事項を記載した届出をしている場合の給与をいう。

今回の改正で最も大きくかわったのはこの点で、改正前は定期定額が報酬・賞与の区分で、損金性の決定的要素とされていたが、改正後は事前届出があれば、盆暮れなどの特定日の増額支給も損金算入できるこことなった。

たとえば、非常勤役員に対する給与を半年ごとに支給する場合は、支給時期を1か月以下の一定期間ごとと定めている定期同額給与には該当しないため、損金算入するには事前確定届出給与として税務署長への事前届出が必要となるわけである。

ところで、税務署長へ届け出た支給額と実際の支給額が異なった場合は、どうなるのであろうか。原則的には、それが増額支給であろうが減額支給であろうが、実際の支給額全体が損金不算入となるので要注意である。

利益連動給与

損金に算入できる利益連動給与とは、同族会社に該当しない法人が業務執行役員に対して支給する利益連動給与(利益に関する指標を基礎として算定される給与をいう)で、次に掲げる要件を満たすものをいう。なお、業務執行役員が複数いる場合にはすべての業務執行役員に対して利益連動給与を支給する必要がある。

  1. 算定方法が、当該事業年度の利益に関する指標(有価証券報告書に記載されるものに限る)を基礎とした次の要件を満たすものであること。
    イ.確定額を限度とし、かつ、他の業務執行役員に対して支給する利益連動給与に係る算定方法と同様のものであること。
    ロ.会計期間3月経過日までに、報酬委員会(当該法人の業務執行役員またはそれら役員と特殊関係にある者が委員になっているものを除く)が決定していること、その他これに準ずる適正な手続きを経ていること。
    ハ.ロの決定または手続きの終了の日以後、遅滞なく、有価証券報告書に記載されていること、その他の方法により開示されていること。
  2. 利益に関する指標の数値が確定した後1月以内に支払われ、または支払われる見込みであること。
  3. 損金経理していること。

特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入の規定は平成22年3月31日終了事業年度をもって廃止された。

業務主宰役員

業務主宰役員とは、税務上の役員のうち、会社の経営に最も中心的に関わっている役員のことであり、常務に従事する役員とは、会社の経営に関する業務を役員として実質的、日常継続的に遂行している役員のことである。

損金不算入となる過大役員給与(役員退職給与を除く)

役員給与額のうち不相当に高額な部分の金額については、損金に算入されない。

役員給与の額が不相当に高額であるか否かは、次の実質基準と形式基準によって判定し、どちらの基準に比較しても超過する金額がある場合は、多いほうの金額が過大給与となる。

  1. 実質基準
    ・その役員の職務内容
    ・その法人の収益状況、使用人の給料の支給状況
    ・同業、同規模の類似法人の役員報酬の支給状況
  2. 形式基準
    定款の規定、株主総会、社員総会もしくはこれらに準ずるものの決議で役員報酬を決めているときは、その限度を超える額。

企業実務サポートクラブ
加羅巌(公認会計士)
監修:税理士法人アクティブイノベーション

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