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各種「議事録」を効率的に作成するコツ教えます

ビジネスの基本スキル!
 

日常のちょっとしたミーティングや会議・打合せの議事録から、取締役会・株主総会の議事録まで、総務部門が作成に携わる議事録はいろいろあります。そうした議事録を効率的にまとめるコツを紹介します。

会社で作成する議事録には、会議の出席者に配付する備忘録的なものから、会議に出席していない上司などへの報告書的な意味合いのものまで、様々な目的・用途のものがあります。

したがって、すぐれた議事録とは、それぞれの目的・用途に合ったものといえるわけですが、共通していえることは、「一読しただけで会議の内容が理解できるものであること」といえるでしょう。

具体的なポイントとしては、以下の3つが挙げられます。

(1)読みやすいように、項目別・議題別に整理されていること
(2)疑問が生じないように、具体的に書かれていること
(3)行動しやすいように、理由や目的が書かれていること

議事録作成に必要な能力とは?

では、このようなすぐれた議事録を作成するには、どんな能力が必要なのでしょうか。

第一に必要なのは、想像力です。
じつは、想像力はすべてのビジネス文書に欠かせないほど重要な能力だといっても過言ではないのですが、この能力が低い人や、能力はあるのに使っていない人が多いのが実情なのです。

議事録の場合でいえば、

「読み手は何を知りたがっているのか?」
「読み手が知りたい情報の優先順位は?」
「読み手にこの専門用語の意味が理解できるか?」


など、読み手の視点で物事を考えることができる力。
これが議事録をまとめる際に、最も必要な能力といえます。
そのうえで、

・会議の内容を漏れなくメモするための集中力
・わかりにくい話をわかりやすく簡潔にまとめる要約力
・話の順番を読み手の知りたい順番に並び替える編集力
・読みやすいように配置するレイアウト力


なども、議事録作成に必要な能力といえるでしょう。

メモとICレコーダーを併用する

ここからは議事録を効率的にまとめるためのコツについて、いくつか具体的に紹介していきたいと思います。

まずは会議の記録の取り方についてのコツから。
理想は、会議中の発言をすべて正確にノートにメモしたり、パソコンに入力したりすることですが、難しいのが実情といえます。

そこでお勧めしたいのが、ICレコーダーの活用です。

ただし、ICレコーダーだけに頼ってメモをまったく取らないのは問題です。
なぜなら、あとから文字起こしをするのに、すごく時間がかかってしまうからです。
文字起こしは録音時間の4倍はかかると考えておきましょう。

また、大人数の会議になると、音声だけでは誰の発言なのかがはっきりしない場合がありますので、発言者の名前は必ずメモしておきます。
ICレコーダーはあくまで控えとして利用し、メモと併用するようにしましょう。

議事のポイントの押さえ方

会議やミーティングでは、重要なことから雑談まで、様々な発言が飛び出します。
慣れないうちは、その中からどの発言を記録として残し、どの発言を捨てるかの判断が難しいところです。

ただし、議事録には絶対に欠かせない項目があります。
次の項目に該当する発言は必ずメモするようにしましょう。

  • 報告事項
  • 議題に関連する発言
  • 賛成意見、反対意見
  • 決定事項、保留事項
  • 今後の課題および宿題

上手にメモを取るコツ

議事録にまとめる作業を効率的に行なうために、メモの段階でやっておきたいことがあります。

(1)誰の発言かを明確にする

前述したように発言者の名前を記録しましょう。
たとえば、山田さんの発言であれば、発言の前に「山」と書くなどして、誰の発言なのかがわかるようにしておきます。

お客様との打合せの場合などは、ノートの左右中央に線を引き、左がお客様の発言、右が自社の発言というように分けてメモするのも有効な方法です。

(2)重点事項はその場で確認する

聞き取れなかった部分をあいまいにしておかないようにします。
特に日時や数量、金額、場所など、具体的な事柄については正確さが要求されるので、必ずその場で確認しましょう。

(3)複数の色でメモする

決定事項は青、保留事項は赤、宿題は緑で書くなど、内容に応じて色を変えながらメモを取ると便利です。
こうしておくと、あとから項目別に整理する際のスピードが上がります。

また、会議のアジェンダ(議事予定)や議事録のフォーマットがある場合は、あらかじめそのフォーマットをパソコンに入れておきます。
そして、議事の進行にあわせて、該当するスペースに発言や決定事項を直接入力していくと、編集作業が楽になります。

(4)途中の時刻を記録する

5〜10分おきに時刻をメモしておきましょう。
メモしきれなかった発言を会議等が終わった後にICレコーダーで確認する際、該当箇所を探し出しやすくなり、時間短縮につながります。

(5)加筆できる余裕をつくる

発言と発言の間は1〜2行空けておきましょう。
余白を取らずびっしりメモしてしまうと、あとで主語や述語などの言葉を補う必要が出てきた場合に、記入するスペースがなくなってしまいます。
余裕をもったメモの取り方を心がけることが有効です。

(6)メモの必要のない時間を使う

会議中の空き時間も上手に利用しましょう。
たとえば休憩時間や、雑談の時間、資料を読み上げている時間など、特にメモを取る必要のないときに、発言内容を整理する作業などをしておくと時間の短縮につながります。

関連資料の整理の仕方

会議によっては資料が配付されるケースがあります。
そういう場合は、まず資料に「資料1」「資料2」というように通し番号を振っておきましょう。

議事録に書くときは「配付資料」という項目を設け、「資料1…営業1課売上報告」「資料2…営業1課チラシ」というように、どんな資料が配付されたかが一目でわかるようにしておきます。

資料から引用するときは、「出所…資料1」や「資料1より引用」などとして、どの資料からの引用であるかを明らかにします。

資料の参照を促す場合は「資料1参照」ではなく、「資料1の上から10行目参照」と、具体的に書いておくようにしましょう。それが読み手に対する配慮です。

すぐれた議事録に仕上げるコツ

最後に、議事録のまとめ方についてお話ししたいと思います。

会議中から議事録の完成形をイメージしたメモの取り方をしておけば、あとから項目ごとに整理するのは、それほど難しいことではありません。

問題は、いかに「すぐれた議事録」に仕上げていくかということです。そこで、そのコツをいくつか紹介したいと思います。

(1)読みやすいように、項目別・議題別に整理されていること

まず、「読みやすさ」については、議事録のフォーマットを使用すれば特に問題はないでしょう。適度に余白を取ることで、文字がぎっしり詰まっている印象を与えないことがポイントです。

(2)疑問が生じないように、具体的に書かれていること

読んだ人が「これってどういうこと?」とならないように具体的に書くようにしましょう。

たとえば「営業1課の問題点…チラシ」と議事録に書いてあった場合、これだけではチラシの何が問題なのか、印刷代が高いことが問題なのか、レスポンスが悪いことが問題なのか、その原因がわかりません。
できるだけ具体的に書くことを意識しましょう。

(3)行動しやすいように、理由や目的が書かれていること

「理由や目的を書く」ということについてですが、たとえば「営業1課が今後やるべきこと…テレアポ1人1日100件」だけですと、課員たちから「なぜ、こんな非効率なことを?」といった不満が出る可能性があります。
ここに「新規顧客を月10社獲得するために」という目的が書いてあれば、課員たちも納得するでしょうし、不満が解消されないにしても、もっと効果的な代替案が出てくるかもしれません。

いずれも細かいことかもしれませんが、読む人の立場に立った細かな気遣いができるかどうかが、すぐれた議事録とそうでない議事録との分かれ目になるのです。

月刊「企業実務」 2012年1月号
堀内伸浩(文章コンサルタント)

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