育児休業中の社会保険料免除についての要件が改正されます
令和4年10月改正までに要チェック!育児・介護休業法の改正により、令和4年10月1日から育児休業の分割(2回まで)と、産後パパ育休(出生時育児休業)が始まります。
これに伴い、育児休業期間中の給与や賞与における社会保険料免除の要件も変わります。
目次
育児・介護休業法改正のポイント
まずは今回の育児・介護休業法の改正を確認しておきましょう。
育児休業の分割取得と育児休業給付金
- 1歳未満の子について、原則2回までの育児休業分割が可能になり、その間は育児休業給付金が受給できます。
- 3回目以降については保育園に申し込んでいるが入園できない場合などの回数制限の例外事由以外は給付を受けられません。
- また、育児休業の延長事由があり、かつ夫婦交代で育児休業する場合(延長交代)は、1歳から1歳6か月と1歳6か月から2歳の各期間において、パパ、ママそれぞれ1回に限り育児休業給付金が受けられます。
産後パパ育休(出生時育児休業)
子どもの出生後8週間以内に4週間まで取得することができます。
2回に分割して取得することができますが、分割することを初めにまとめて申し出ることが必要です。
産後パパ育休を取得した場合には出生時育児休業給付金が受けられます。
育休中の社会保険料の免除
令和4年9月までの免除に必要な休業の期間の考え方
給与と賞与の社会保険免除要件
育児休業の期間が「育児休業等を開始した日の属する月から、その育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間」である場合に社会保険料が免除されます。
つまり月末最終日さえ育児休業を取得していれば、その月の社会保険料が給与も賞与も免除されることになります。
(例1)令和4年6月6日~6月17日まで育児休業等を取得し、6月中に賞与が支給された
⇒終了日の翌日(6月18日)の前月(5月)が育児休業期間ではないので、給与も賞与も保険料は免除されない。
(例2)令和4年6月29日~6月30日まで育児休業等を取得し、6月中に賞与が支給された
⇒終了日の翌日(7月1日)の前月が6月であり、6月に育児休業を開始しているので、給与も賞与も6月の保険料が免除となる。
令和4年10月以降の免除に必要な休業の期間の考え方
法改正により、育休中の社会保険料が免除されるための要件が変わります。
令和4年10月1日以降、給与と賞与で要件が異なりますので、別々に確認していきましょう。
給与の社会保険料免除要件
次のどちらかの場合に、社会保険料が免除されます。
・月末日が育児休業等期間中である
・その月内に14日以上の育児休業を取得した
賞与の社会保険料免除要件
連続して1か月を超える育児休業を取得している場合に限り、社会保険料は免除されます。
(例1)令和4年10月16日~11月15日まで育児休業等を取得し、10月中に賞与が支給された
⇒ちょうど1か月なので社会保険料は免除されず、10月中に支給された賞与から社会保険料がひかれます。
(例2)令和4年10月16日~11月16日まで育児休業等を取得し、10月中に賞与が支給された
⇒育児休業期間が1か月を超えるので、10月中に支給された賞与から社会保険料は免除されます。
産後パパ育休(出生時育児休業)中に就業したとき
労使協定を結ぶと、産後パパ育休中に本人が申し出て会社が認めれば、育休中の社員が就業することも可能です。
このとき、就業日数については休業した日から除かれます。
また、時間単位で就業した場合は、「就業時間数÷所定労働時間(1日未満端数切捨て)」を就業日数として休業した日から除きます。
なお産後パパ育休についても、休業した日が同一月内に14日以上あれば社会保険料免除の対象となります。
ブレイン社会保険労務士法人 特定社会保険労務士。社会保険手続き、給与計算、年末調整などのアウトソーシングサービスをはじめ、就業規則や評価制度の作成、退職金コンサルティング、キャリアコンサルティングなど実務家として幅広く活躍。