シニア研修で高齢社員に伝える内容とは?
仕事だけではないトータルなライフプランを考えるシニア研修で実施するキャリアプラン
シニア研修で伝えることはいくつかあります。
企業研修の一環として実施しますので、まずは職場で近い将来担うべき役割を理解してもらうことが必要です。
研修では受講者それぞれが目標を立て、これまでのキャリアを振り返ります。
それをきっかけに、先を見据えたスキルアップ・リスキリング※・学び直しを考えてもらいます。
リスキリングとは
第2回 デジタル時代の人材政策に関する検討会資料(PDF)
新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること
「リスキリングとは ―DX時代の人材戦略と世界の潮流―」
このようにして、60歳定年後のキャリアプランを立ててもらうのが研修内容です。
シニア研修における役割:誰が、何を伝えるか
シニア研修で主張するのは、リーダーシップから健全なフォロワーシップへの転換です。
そこで人事部や経営陣からは、求める人物像なども含めてメッセージを出します。
ですが、社内の人間が発信するのが躊躇されるケースを見かけることがあります。
シニア研修の参加メンバーが今の上司だったりすればなおさらです。
また、不本意ながら、上から目線の話し方と捉えられるリスクもあるので、人事制度そのものの説明以外は、外部講師が伝える方がスムーズだと感じています。
したがって、外から研修講師を迎えるのであれば、以下のような役割分担が考えられます。
■シニア研修における役割分担
担当 | 研修内容 |
---|---|
人事部 |
今後の人事制度について |
外部講師 |
将来のキャリアについてのメッセージ リタイア後のライフプランについて |
シニア研修で説明するライフプラン
定年(60歳)後は起業をめざしたり、リタイアを考えたりする社員もいますので、幅広い選択肢のもとで話を進めていきます。
そうでなくても、50代はリタイア後の生活が視野に入ってくる世代です。
年金、雇用保険、税などの知識、資産運用、私的保険の見直し、ファイナンシャルプランの立て方などにも興味津々です。
また、50代は介護世代ともいわれています。
親が認知症になったときや介護の話はなかなか人に聞く機会がありません。
それだけでなく、将来の自分ごととして考えることにも意味があります。
相続税法の法改正も続き、争族にしない相続のための情報もほしい世代です。
このように、老後の家計プランもシニア研修で伝えてください。
シニア研修全体のスケジュール
以上の通り、シニア研修では、トータルな基礎知識と最新情報を提供します。
加えて、みずからの終活などについても情報提供をし、人生100年をイキイキハッピーに送るための序章の役割を果たす研修としています。
たとえば、筆者が外部講師として企業のシニア研修に参加する場合、下表のようなスケジュールを設計します。
筆者であればこのように、社会保険労務士としての立場からだけでなく、FPや年金アドバイザーの観点や生保・損保険業界での経験から、リタイア後のライフプランをトータルにアドバイスさせていただいております。
【スケジュールと内容の例】
時間帯 | 所要時間 | テーマ | 担当 |
---|---|---|---|
10:00~10:15 | 15分 | 開講挨拶 人事制度(再雇用制度)の説明 |
人事部 |
10:15~12:00 | 105分 適宜休憩 |
これからの人生を考える (アラフィフクライシスを考える・不要なアンコンシャスバイアスを取り払う、ブラックエンジンの勧め、マインドチェンジ・キャリアチェンジ、今こそ考える3つのこと など)
~自分らしい生き方をみつけるために~ |
渡辺葉子 |
12:00~13:00 | 60分 | 昼食休憩 | ─ |
13:00~15:30 | 150分 適宜休憩 |
定年前後の年金・社会保険及び税 | 渡辺葉子 |
15:30~15:40 | 10分 | 休憩 | ─ |
15:40~16:00 | 20分 | 退職金等の説明 | 人事部 |
16:00~17:30 | 90分 適宜休憩 |
老後の家計プラン (ファイナンシャルプラン、親が介護・認知になったら。私的保険の見直し、資産形成・相続、終活 など) |
渡辺葉子 |
17:30~17:45 | 15分 | 質疑応答 | ─ |
※筆者(渡辺葉子氏)が研修を行う際の独自のプランの一例です。実際には、依頼先企業との打ち合わせや世の中の動きに合わせて毎回バージョンアップしていきます。ここは、依頼する講師が保有する資格やノウハウによって内容は異なります。
社会保険労務士法人YWOO代表。特定社会保険労務士、上級個人情報保護士、日本年金学会正会員、年金アドバイザー、FP、生損保資格試験合格など資格多数保有。
損害保険業、人材派遣業を経て、2006年人事労務コンサルティングを中心に活動するYWOO株式会社を、その後2016年社会保険労務士法人YWOOを設立。企業の人事労務コンサルを行う。同時に、年金・高齢者活用・多様な働き方、人材活用・社会保険・給与計算・助成金・マイナンバー等幅広いカテゴリーのセミナーに加え、セカンドライフセミナー・キャリアチェンジ&マインドチェンジ等の企業研修を全国展開で開催中。企業の人事労務担当者の育成、執筆、バックオフィスアウトソース受託業務も行う。