株主総会の開催手続きは?
目次
必ず開催しなければならない株主総会
定時株主総会は、毎事業年度の終了後、一定の時期に招集しなければならないと定められています。
税務上、1年を超えない期間を1事業年度として課税されることなどから、一般には、1年を1事業年度としています。基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から3か月以内に行使するものに限る)の内容を定めなければなりません。
多くの会社では、事業年度の終了日を株主権行使の基準日としていることから、事業年度終了後3か月以内に開催しなければならないこととなります。
定時株主総会では、計算書類の承認や剰余金の配当の決定とともに、役員の選任や定款変更などが行なわれます。
必要に応じて開催される株主総会
株主総会は、必要がある場合には、いつでも召集することができます。定時ではなく招集されるこの株主総会は、臨時株主総会と呼ばれています。
臨時株主総会では、必要があって召集した事項に応じて、臨時計算書類の承認をはじめ、剰余金の配当の決定、役員の選任や定款変更などが行なわれます。
株主総会の招集権者
定時・臨時いずれの株主総会も、定められた招集手続によって開催されます。まず、誰が招集するかという招集権者については、取締役会設置会社と未設置会社とで違いがあります。
取締役会設置会社において招集の決定をするのは、取締役会です。
それに対し、取締役会を置かない会社においては、取締役が招集を決定します。
株主総会招集の際に決定する事項は、(1)開催の日時・場所、(2)目的である事項、(3)書面による議決権行使ができるときは、その旨、(4)電子メールなどの電磁的方法による議決権行使ができるときは、その旨、(5)その他法務省令で定める事項です。
招集通知の発送
招集手続に関しては、招集権者のほか、招集通知を発送する時期と招集通知の方法について定められています。
招集通知を発送する時期については、公開会社の場合は会日の2週間前まで、非公開会社の場合は会日の1週間前までとされています。
招集通知の方法については、招集に際して決定した事項の内容と取締役会の設置・未設置によって、異なる定めがなされています。
書面または電磁的方法による議決権行使を決定した場合と取締役会設置会社においては、書面でしなければなりません。
取締役会を置かない会社が書面または電磁的方法による議決権行使を決定しない場合は、招集通知の方法についての定めがありません。
したがって、この場合は、書面によらずに口頭で通知することも認められます。
会社の基本形における招集手続のまとめ
株主総会の招集手続については、いくつかの区分によって異なる定めがなされていることから、会社の基本形においてどのようになるのかを整理しておきます。
大会社の基本形(公開・取締役会・監査役会・会計監査人)や委員会設置会社の基本形(公開・取締役会・三委員会・会計監査人・執行役(代表執行役))においては、取締役会が招集を決定し、会日の2週間前までに書面で通知をすることになります。
中小会社の基本形(非公開・取締役会・監査役)においては、取締役会が招集を決定し、会日の1週間前までに書面で通知をすることになります。
株主による招集の請求
総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6か月前から引き続き持つ株主は、取締役に対して、株主総会の目的である事項および招集の理由を示して、株主総会の招集を請求できます。
この請求後遅滞なく総会招集の手続が行なわれない場合、または、請求の日から8週間以内の日を会日とする総会の招集の通知が発せられない場合、請求をした株主は、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができます。
株主総会は、会社だけではなく、株主も招集できるのです。
株主提案権
一定の条件を満たす株主(公開会社の場合は、総株主の議決権の100分の1以上または300個以上の議決権を6か月前から有する株主)は、株主総会の8週間前までに、取締役の解任など一定の事項を株主総会の目的とするよう請求することができます。
また、株主は、株主総会において、総会の目的である事項について、修正議案などの議案を提出することができます。
これらの権利のことを株主提案権といいます。
利益供与の禁止
株式会社は、何人に対しても、株主の権利行使に関し、財産上の利益の供与をしてはならないとされています。
いわゆる総会屋対策のために設けられた規定だといわれていますが、総会屋の議決権行使に限らず、株主の権利行使に関するものであれば、どのようなものであっても利益を供与してはならないのです。
株主が会社から利益を受けるのは、自益権の適正な行使の結果に限られるのです。
企業実務サポートクラブ
水野賢一(弁護士)