ロゴや色彩も商標に!身近に広がる商標登録の世界
世界は商標にあふれている!?目次
商標登録とは
特許庁によると商標とはこの2点を満たすものといわれます。
1.事業者が使用するマーク
初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~
2.自己の商品・サービスと他人の商品・サービスを区別するために使用するマーク
そもそも商標とは? 商標権を取るメリットは?
商標登録できれば、よその会社が自社の商標や類似商標を使用している場合に、使用禁止を求めることができるようになります。
※申請から結果が出るまで10か月ほどかかるということですので、商標登録をお考えなら早めの対応が必要です。
商標登録は自社の商品・サービスのブランディングにも一役買いますし、模造品の流通を防ぐことにも役立ちます。
逆にいえば、すでに商標登録されているマークを勝手に使用することはできないので、新商品や新サービスを考案したときは、その名称が出願済みでないかどうかを事前にチェックしておくことも大切です。
商標登録されているかどうか、こちらですぐに検索することできます。
特許情報プラットフォーム J-PlatPat
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
J-PlatPatでは商標だけでなく特許・実用新案や意匠についても調べることができて便利です。
さて堅苦しい話はここまでにしてこれからは、知ると興味がわくかもしれない商標登録の実態をご紹介していきます。
アルファベット26文字すべてが登録商標:G-SHOCK
G-SHOCKといえば「落としても壊れない時計を つくるという開発者の熱き信念」 (G-SHOCK公式ウェブサイト)のもと、カシオ計算機株式会社が開発、1983年に発表した腕時計です。
今では世界各国にファンがいるタフな腕時計として、コレクターも多い腕時計です。
もちろん「G-SHOCK」で商標登録されているのですが、模造品対策としてアルファベットのAからZまで、つまりA-SHOCKからZ-SHOCKまで26個の名称が商標登録されています。
実際にJ-PlatPatで確認してみましょう。
たとえばA-SHOCKを検索してみると次の通り、商標登録されていることがわかります。
A-SHOCK(登録4289775)
このほか、BからZまですべて商標登録されています。
LIONは上下反転しても自社商標になる
ライオン株式会社といえば、ハミガキやハンドソープ、洗剤など家庭で身近なものを各種取り扱っている大手企業です。
皆様のご家庭でも何かライオン製品をお備えかもしれませんね。
さて「LION」というアルファベット表記のロゴはよくご存じのことと思います。
当然、ライオン株式会社も「LION」を商標登録しています。
LION(登録0545999)
ところで、この「LION」という言葉を上下さかさまにすると、どう見えるでしょう。
「NO17」(ナンバー17)と読めませんか。
ハミガキのようなサイズの小さな商品は横にして並べられることも多いので、上下さかさまに置かれる場合もありうることです。
そこでライオン株式会社は「NO17」も商標登録しています。
NO17(登録2419294)
もしライオン株式会社が「NO17」を商標登録していないと、他社が 「NO17」 ブランドのハミガキを流通させていたかもしれませんね。
そうすると、商品の誤認購入のおそれもあっただろうことが想像されます。
このように、本来所有している商標とは異なる商標をあらかじめ登録しておくことにより、悪質な類似商品との誤認から消費者を守ることもでき、自社ブランドを守ることもできるのです。
iPhoneはAppleの登録商標ではない?
すでに登録されている商標を無断で使用してしまうと、商標権侵害で訴えられたり、損賠賠償請求されたりというリスクがあります。
とはいえ、必ずしも他社商標を使うことができないというわけではありません。
両者合意のもと、他社が登録商標を使用できるようになることもあります。
iPhoneの例を見てみましょう。
じつは日本において「iPhone」という商標は愛知県にあるアイホン株式会社が取得しています。
iPhone(登録5147866)
Appleも日本でのiPhoneの商標登録を試みたのですが、すでに同名の商標登録があったことから、Appleの登録は却下されてしまったそうです。
そのためAppleはアイホン株式会社と協議し、合意を経て使用許諾を得ることになったというわけです。
iPhoneユーザーなら目にしたことがあるかもしれませんが、iPhoneの商品ページなどをよくよく見てみるとたしかに「iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスにもとづき使用されています」との一文を確認することができます。
「介護」も商標登録されている?
今では一般的に広まっている言葉でも、じつは商標登録されたものだったということがあります。
たとえば「介護」という言葉がそれに当たります。
介護(登録1652072)
「介護」はもともとフットマーク株式会社の現会長である磯部成文氏により「介助」と「看護」を組み合わせて作られました。
介護保険という言葉があるように、いまや国の制度にまで使用されているほど当たり前に認知されていますが、もともと商標登録されている造語だったわけです。
介護という言葉で商標の検索してみると介護の名を関した保険名などが多数現れますが、「広く知ってもらいたい」との思いから同社は使用料などを受け取っていないそうです。
一般的な用語に見えて、じつは商標であったという言葉は少なくありません。
他にも「ウォークマン」(ソニ-株式会社)、「宅急便」(ヤマトホールディングス株式会社)、「シーチキン」(はごろもフーズ株式会社)、「セロテープ」(ニチバン株式会社)などがあります。
提供している会社が違っても、ついついこの名で呼んでしまったことはありませんか。
それだけ認知度が高い、つまり影響力が大きかったことの表れかもしれませんね。
商標登録できるのは文字と図形だけではない
商品名やロゴデザイン以外にも申請できるものは思いのほか多岐にわたります。
文字や図形はわかりやすいところですが、音や色彩、動き※までも商標登録できるというのは意外です。
※これらは2015年4月に施行された改正商標法において加わりました。
ちなみに上記「色彩のみ」で挙げられている青-白-黒の3色ストライプ(登録5930334)は株式会社トンボ鉛筆が取得したもので、MONO消しゴムに使用されているものです。
このMONO消しゴムのストライプと、セブンイレブンの看板に見られるオレンジ-白-緑-赤のストライプ(登録5933289)の2点が、色彩として初めて商標登録されたものだということです。
おわりに
このようにさまざまなものが商標登録されています。
たとえばコンビニエンスストアに訪れてみましょう。
商品名やイラストのほか、デザインの位置まで、目に映るほとんどのもので商標にあふれています。
また、カシオ計算機株式会社やライオン株式会社のように、いろいろな方法で商標登録しておくことで模造品流通などの被害を予防することもできます。
せっかくの新商品でも土壇場になって商標権侵害で訴えられないよう、事前に商標登録しておくというのもコンプライアンス上、重要なことです。
特許庁では商標登録に関して、初めて行う方でも出願できるよう各種情報を取り揃えていますので、自社のビジネスに商標登録を活用したいという方はぜひご覧ください。
初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~
商標登録願の様式
商標の活用事例集「事例から学ぶ 商標活用ガイド」