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Q2.パート社員にも慶弔休暇を付与しないといけませんか?

同一労働同一賃金で注意したい人事設計Q&A
 

2021年4月1日に大企業から先行された同一労働同一賃金の対応を求めるパートタイム・有期雇用労働法が、いよいよ中小企業にも施行されました。

この同一労働同一賃金は、同一企業内において正社員と非正規社員との間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることを禁止しています。

では、具体的にどのような点に注意し、非正規社員の処遇を検討していけばよいのでしょうか。

企業の実務上のポイントを同一労働同一賃金ガイドラインと裁判例を参考に、われわれ社労士の実務経験を交えてQ&A方式(全6問)で解説していきます。


同一労働同一賃金の質問

Q.パートタイマーにも慶弔休暇を付与しなければならないのでしょうか?

A.同一同一労働同一賃金の考え方では、慶弔休暇などの福利厚生は是正の対象となり、原則は正社員と同一の慶弔休暇を付与する必要があります。

社会保険労務士

ガイドラインにおける慶弔休暇の見解

ガイドラインではパートタイマーや有期雇用労働者にも、正社員と同一の慶弔休暇を付与しなければならないと示しています。

一方で次の例のような、週所定勤務日数の少ない者への振替措置については許容されています。

(問題とならない例)
A社において、正社員Xと同様の出勤日が設定されているパートタイマーYに対しては、正社員と同様に慶弔休暇を付与しているが、週2日の勤務のパートタイマーZに対しては、勤務日の振替での対応を基本としつつ、振替が困難な場合のみ慶弔休暇を付与している。

実務上のポイント

実際に、われわれの顧問先の就業規則等を確認すると、慶弔休暇の付与対象は全従業員を対象とするものの、正社員は有給、パートタイマーは無給と定めているケースもあります。

賃金の扱いに関しては、慶弔休暇を有給とするか無給とするかは法律上決まっていませんが、合理性の立証が難しいことから、正社員と同様に有給とするのが妥当と考えられます。

顧問先には、上記も踏まえてガイドラインに沿った就業規則等の見直しを助言しています。


【参考】キャリアアップ助成金のご紹介
同一労働同一賃金対策にあたり、正社員と同様の仕事に従事し、大きな貢献を果たしている非正規社員のコストアップが想定されたとしても、優秀な人材であれば正社員に登用し、能力発揮を促し育成していくことが望ましいと言えます。

国は、非正規社員を正社員に転換させる企業を後押しし、積極的に処遇改善に取り組む企業に対し助成金を支給しています。
キャリアアップ助成金は、非正規社員の正社員転換に加え処遇改善に取り組む企業を支援しています。

詳しくは、厚生労働省のホームページを確認のうえ、ぜひ活用してください。

キャリアアップ助成金[厚生労働省]
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

松原活洋 氏(特定社会保険労務士)

2016年3月、社会保険労務士法人和(なごみ)に入社。2016年12月社会保険労務士登録。2019年4月特定社会保険労務士付記。「お客様に寄り添う」をモットーとし、多岐に渡る業種の人事労務相談業務を中心に就業規則・諸規程の策定、各種助成金のコンサルティング業務など幅広い業務に携わっている。

土田香織 氏(社会保険労務士)

JASDAQ上場商社にて、主に給与計算、社会保険手続き、新入社員研修の人事労務業務に9年間従事。その後、社会保険労務士法人和(なごみ)に入社し、2016年に社会保険労務士資格を登録。現在は二児の育児休業を経て、多店舗展開する飲食業の労務管理を強みとし、きめ細かく丁寧なサービスの提供をモットーとしている。

同一労働同一賃金で注意したい人事設計Q&A[全6回]
Q1.パート社員にも賞与は支給しないといけないのでしょうか?
Q2.パート社員にも慶弔休暇を付与しないといけませんか?
Q3.定年後再雇用者の待遇はどこまで変えてよいのでしょうか?
Q4.派遣社員の同一労働同一賃金対策は派遣元と派遣先のどちらで行うのですか?
Q5.同一労働同一賃金に違反すると罰則はありますか?
Q6.同一労働同一賃金の処遇を決めるのに間違えやすいポイントはありますか?

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