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4P分析ってどんな目的で行うんですか?

マーケティング戦略に使う分析手法をわかりやすく教えてください
 

商品やサービスをどう提供していくのかを考えるときによく使われるのが「4P分析」です。
4P分析はマーケティング戦略上でも、基本的な分析のひとつといえます。

では、4P分析でいったい何を分析するのでしょうか。


・・・・・・・

どうしました? なにやら不機嫌そうですね

もしかして、割り勘って言っておきながら、いつも端数1円をあなたに回していたのが、ばれましたか?

え!? 先生、そんなことしてたんですか?

え!?

それは後で詳しく聞きますね

それよりもチーズは6Pあるのに、マーケティングは4Pしかないって負けなんじゃないでしょうか

いったい何と戦って負けなんですか?

チーズの国内売上ナンバー1の座は伊達ではないということですね

ですから何が何と戦っているんですか?

6Pチーズならお酒も進みますが、4Pでは足りないんです!

マーケティングをつまみにしたお酒って何が合うんでしょうね

4P分析とは

4Pというのは4P分析のことですね。
4P分析というのは自社の商品やサービスを考えるための基本的な分析手法です。
頭文字がPではじまる4つのキーワードが使われることから、4P分析と呼ばれています。

4つのPというのは、この4つですね。

Product(製品)Price(価格)Place(流通)Promotion(販促)の4つの観点から、製品やサービスを考えることで、商品の強みや課題を明らかにしていくんですね。

6Pチーズもおいしいのですが、4P分析は食べ物ではありませんよ

マーケターがチーズを4つ食べながら会議するんじゃないんですか?

何を食べながら会議してもかまいませんが、なぜそれが専門用語になると思ったのですか?

なお、4P分析は「よんぴーぶんせき」または「ふぉーぴーぶんせき」と読みます。
6Pチーズは「ろっぴーちーず」と読みますね。

うん、今そういうことは聞いてないかな

いや、言い出したのはそちらでは……

ほらほら、続きを早く! 時間は有限ですよ!

あ、はい

4P分析の目的

4P分析は検討したい製品を、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)の4つに分けて分析することで、その製品のウリや特徴、販売ルートなどを整理していきます。
これらを分析することで販売戦略を講じていくのですね。

食べ物じゃなかったんですね……

むしろ、なぜ食べ物だと思ったのかを知りたいところです

ということは6Pチーズを4P分析することもできるんですね!

おっしゃるとおり。そういうこともできるでしょうね

6Pを4Pするんですね!

急になにがなにやら、わからなくなってきましたね

4P分析をすると、どんなことがわかるのでしょうか。

たとえば製品の特性や顧客ニーズを明らかにすることは品質向上、新製品開発にも役立ちます。
あるいは、どんな価格帯で勝負するのか、どんなルートで販売していくのが最善なのか、いろいろなことが検討できます。

4P分析はこういった戦略検討を4つの観点に整理して行っていくわけです。
最終的には製品をお客様に届けたいわけですから、どうやったらお客様に関心を持ってもらえて、製品を購入してもらえるのか、その道筋を具体的に整理するともいえるでしょう。

そのための4P分析なんですね

6Pチーズを食べながら分析するんですね

それはもしかして、遠回しの催促ですか?

Product(製品)を分析する

まずは自社製品の検討です。
ここではProductに「製品」という言葉を当てていますが、商品だろうと形のないサービスだろうとかまいません。
要は売りたいモノ、取り扱うモノをここで分析していきます。

顧客が求めている機能はなにか、自社製品ならではの強みはなにか、あるいは競合製品にどんなものがあるのかといったことを調べていきます。
どうやって製品のブランド価値を高めていくのかも議論されることでしょう。

製品開発もここで検討します。
企画段階で方向性を定めるのも、Productのマーケティング戦略のひとつといえます。

製品の検討ということですが、もちろん顧客のことを忘れないでおきたいですね。
その製品やサービスがどんなお客様に対して、どんな問題を解決してくれるのかを見つめ直すことも大切なことだと思います。
マーケティングの大家セオドア・レビットはかつて、こんなことを言いました。

人々が欲しいのは1/4インチ径のドリルではない。1/4インチ径の穴が欲しいのだ

セオドア・レビット

人はドリルそのものが欲しくて、ドリルを買うわけではありません。
たとえば家具を作るのに穴をあけたいという目的達成のためにドリルを買うのです。
この言葉の意味するところは、よくよく肝に銘じておきたいものですね。

それじゃあ、わたしはドーナッツのまわりの方を食べるので、先生にはドーナッツの穴の方をあげますね

ドーナッツ

ドーナッツやちくわは例外ということにしていただけませんか?

Price(価格)を分析する

次は価格です。
取扱い製品は、参入する市場のなかで適正な価格でしょうか。

そもそも、どんな値付けをしたらよいのでしょう。
原価をはじめとするコストもここで考えます。
できることなら損益分岐点を計算して、いくら稼いだらコストを回収できるかも検討して、価格設定したいところです。

価格戦略ということでも、いろいろなことが考えられそうですね。
たとえば、ホテルは繁忙期(観光シーズン)だと宿泊費が高くなり、閑散期は安くなります。
いろいろな戦略はあるでしょうが、自社Productに応じた価格戦略がうかがわれます。

あるいはセット販売のケースだと、どうでしょうか。
5個まとめて購入してくれたら10%引きにしようか、それともおまけをつけようか。
長期で継続購入してくれるなら、少し値段を下げようか、などなど。

買ってくれるなら値引きしない方が儲かりません?

たしかにそれも一理あります。ですが、考え方次第ですね

CAC(Custmer Acquisition Cost)という考え方があります。
CACとは「顧客獲得コスト」という意味で、1顧客を獲得するのにどれだけ費用をかけたのかを表す言葉です。
1人当たりの顧客獲得に必要な人件費や広告宣伝費を見るわけですね。

このとき買い替えを期待できる商品だったら、どうでしょうか。
毎回毎回、費用をかけて集客するくらいなら、多少割り引いてでも長期の継続購入を誘う方が結果的に費用を抑えられる場合もあるのです。

お買い得!と思ってたら、会社の方が儲かっているということですね

そういうこともある、ということでしょうけどね

いずれにしても、取り扱う製品やサービスに合わせて価格設定しないといけませんね。

Place(流通)を分析する

ここでいうPlaceというのは、販売する場所というくらいの意味ですね。
つまり販売経路なり、流通経路なりを考えるわけです。

店頭に並べて販売する製品もあるでしょうし、インターネット専売・オンラインショップでのみ販売される製品もあるでしょう。

せっかくTVで取り上げられても、店舗が1軒しかなければ、遠方の人は買えませんよね。
その場合は新たな販売経路をつくるために、オンラインショップを立ち上げることも考えられるでしょうか。

また近年はコロナ禍で外出する機会が減りました。
結果、店舗に足を運ぶ機会も減りましたが、SNSを使ったライブ配信で商品を見てもらってオンラインで販売するケースも増えてきましたね。

BtoBにおいても対面営業ができないうえ、商談相手はテレワークで会社にいないとなると、どこで売り込みをしたらよいのでしょうか。
こんなことも「Place」の検討のひとつかもしれませんね。

店舗といえば、ショールーミングという言葉も一時期はやりましたね

猫ちゃんの毛づくろいを鑑賞するんですね!

ショールーミング

いや、Show!グルーミングではなくてですね……

ショールーミング(showrooming)というのは、お店に行って商品は見るけれども、その場で買わず、あとでインターネットで価格を調べていちばん安いネットショップに注文する行為のことです。
まさに、実店舗がショールーム化してしまったという事態ですね。

店舗家賃分が浮くだけでもそのぶん、ネット通販の方が安く販売できますからね。
実店舗が不利になるのは否めません。

わたしもついついスマホで値段を調べちゃいます

そういう時代なのかもしれませんが、お店は困りますよね

世の中にはショールーミングのせいで倒産した会社があるとか、いっそ開き直って店舗をショールームにして「購入はネットで」と切り替えたお店があるとか、そんな話も耳にします。

では何をするのが正解だといいたいわけではありませんが、製品をどんなPlace(流通)で販売していくのかを検討することが大事だということはおわかりいただけるのではないでしょうか。

Promotion(販促)を分析する

販促といいましたが、文字通りプロモーションですね。
どんなプロモーション活動をするのかを検討します。

買ってもらいたい製品についてどんなメッセージを発信したらよいでしょう。
ここでも独りよがりにならず顧客のことを忘れてはいけません。

かつて英会話学校が世に出始めたころ、「海外旅行に行ったときでも困らない英語力」をアピールして受講生を募集していました。
ところが、旅行が趣味でもそう頻繁に海外旅行に行く人ばかりではありませんから、なかなか受講生が集まりません。

そこでメッセージを「日常英会話」に切り替えたところ、受講生が増えたといいます。
講義内容は変わっていないのにもかかわらず、顧客の受け取る印象が変わったのでしょう。

英会話に興味があっても、海外旅行や留学を目指すといわれると「そこまでは……」と思ってしまう人もいらっしゃるでしょう。
当初「海外旅行に行く」シーンをイメージさせたことでハードルが上がってしまったんですね。

そこで、メッセージを変えることで「普段、ちょっとした英会話ができるといいよね」というライト層にも刺さりました。

わたしなら「チャーハン10人前。完食で無料!」が刺さります

最近、食べ放題のお店で出禁になっているというのは、あなたでしたか

さて、メッセージを伝えるのにどんな広告媒体を使いましょうか。
新聞やTV? それともSNSを使いますか?
季節ごとにDMを送ったり、カタログを送ったりする会社もありますね。

競合他社がどんなプロモーションをしているのかも検討しましょう。
「彼を知り己を知れば百戦危うからず」です。

また、商品やターゲットによっても違うでしょう。

新聞広告の例を考えてみましょうか。
近年は若い方々が新聞を読まなくなったので、費用対効果を考えた結果、新聞広告をやめてしまう企業も少なからず出ています。
その一方で、健康食品業界などは積極的に新聞広告を出しているという話も聞きますね。

若い人が新聞を読まないということは裏を返せば、いまの新聞の購読者層は高年齢化しているといえます。
そこで、ターゲットがはっきりしたぶん、健康が気になる年齢層に刺さる健康食品の広告が新聞によく掲載されるようになったというのです(広告枠が空いた、というのもあるかもしれませんが)。

具体的にどんなプロモーションをすればよいのかというのは悩ましい問題でしょうけれど、ちょっと考えただけでもこんなふうに、背景をまじえた検討も必要になりそうですよね。

4P分析のまとめ

というわけで4P分析というのは、自社で取り扱う製品やサービスについて

  • Product:製品の特徴、その製品にユーザーが期待すること など
  • Price:どんな価格をつけるか、値引き戦略の検討、費用対効果 など
  • Place:どこで、誰が販売するのか など
  • Promotion:どうやってお客様に知らせるのか、どんなメディアを使うのか など

の4つの観点から分析するものです。

この4点をかけあわせることで商品戦略が定まります。
ところで「かけあわせる」といいいましたが、4P分析はマーケティング・ミックスと呼ばれる場合もありますね。

チーズを食べたら、のどが渇きますからね!

いや、ですからミックスジュースではありませんよ

話を聞いてたら、のどが渇きました!

普通、のどが渇くのは話している方ではないでしょうか……

それはともかく、4つのPを分析したらよいというものではなくて、この4つを合理的に組み合わせることが重要です。

たとえば高額のブランド商品(Product)を商店街(Place)で販売しても、よほどの工夫がないと、なかなか売れないでしょう。
商店街は日用品目的で訪れる人がほとんどですから、ブランド品を売るには消費者の意図と展示品がミスマッチですよね。

4P分析をすると、そうしたミスマッチに気付くことがあるかもしれませんね。

4つのPをきちんとミックスして分析すれば、そのぶん効果的なマーケティングが発揮できますよ

それじゃあ、わたしは6Pチーズをミックスして、チーズフォンデュにしますね!

チーズフォンデュ

よほど、おなかがすいているようですね。
では、チーズフォンデュでも食べに行きましょうか

行きたいです!

あ、そういえば割り勘の1円の件ですけど

……

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