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マーケティングで市場を動かすってどういうことですか?

[Market+ing]でマーケティングを考えてみる
 

マーケティングって何ですか?

先生! ちょっと聞きたいことがあるんですけど

なにかね? ヤカンの名前の由来でも聞きたいのかな

わかる人にしかわからない落語ネタは結構です!

そうじゃなくて! マーケティングってマーケット+ingだって聞いたんですけど、どういうことですか?

ちょっと待って。いまウィキペディアで調べるから

え、それ?


「マーケティングとは何ぞや」と聞かれても一口には答えづらいけれども、定義はこれかな?

マーケティングとは、企業および他の組織1)がグローバルな視野2)に立ち、顧客3)との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動4)である。

1)教育・医療・行政などの機関、団体などを含む。
2)国内外の社会、文化、自然環境の重視。
3)一般消費者、取引先、関係する機関・個人、および地域住民を含む。
4)組織の内外に向けて統合・調整されたリサーチ・製品・価格・プロモーション・流通、および顧客・環境関係などに係わる諸活動をいう。

日本マーケティング協会

手を抜きましたね?

失敬な。省エネといってもらいたいですね

それはさておき、ご質問の件ですが、定義の説明が難しいので「Market+現在進行形を表すing」と表現することで「市場が動いている」イメージを伝えているのではないでしょうか

もちろん正確な定義ではありませんけれども、あれこれ言うより「商売は飽きずにやらないといけない。あきない(商い・飽きない)っていうくらいだから」みたいな言い方の方がわかりやすいでしょ?

今度は時そばですか

ですからマーケティング活動は市場を動かすことだと言えるかもしれませんね

でも、市場を動かすって難しくないですか? どうやるんですか?

まあ、それがわかれば、みんな苦労しないだろうしねえ

やはり神の“見えざる手”が市場に介入しているのでしょうか

お!『国富論』ですか。でも、それはそもそもアダム・スミスが……

いや、そういうのいらないんで、本題に入ってくれませんか

あ、はい

事例で考えるマーケット+ing

では、身近な事例を挙げてみますか。
ビジネスではありませんが、人の行動を促した例としては、わかりやすいと思いますし。

SuicaというICカードがありますね。
このSuicaを普及させるために、導入当初からいろいろな工夫が考えられていました。

たとえば、自動改札機の読み取り部。
ここにSuicaをタッチするわけですが、少し坂になっています。

これも人の手のことを考えて作られていて、歩きながらでもSuicaを当てやすい角度が計算されているとのことです。

改札を通るときにSuicaをタッチしてもらうわけですが、じつはこのSuica。
非接触型のICカードなので、本当は読み取り部分にピッタリ触れないで、カードをかざすだけでも読み取ることができるんです。

でも、お店でキャッシュレス決済する場合と違って、乗客は立ち止まってくれません。
改札を通るとき、Suicaが読み取り部の上をサッと横切るだけでは、きちんと読み取れない可能性があります。

そこで「タッチ&ゴー」というフレーズを広めることで、利用者に読み取り部分をしっかりタッチしてもらうように仕掛けたのです。

「タッチ&ゴー」というシンプルなフレーズなら耳に残ります。
しかも「タッチするだけで改札を通れるんだな」というメッセージも伝わります。

そうすると、事細かに指示したわけでもないのに、自発的にSuicaをタッチして自動改札機を通ってもらえるようになっていくんですね。

たしかに自然とタッチしてました!

カードを機械に接触させることでコンマ数秒といえ、読み取り時間を短縮させられるというのもあるのかもしれません。
そうでなくても、自動改札機の読み取り部分にタッチしてもらう方が安心ですよね。

「非接触型のICカードだけれども、通信できないと困るから云々」と説明していたら、なんだか面倒そうな気がして、Suicaの普及も遅れていたかもしれません。

Suicaを読み取れなくて改札で足止めをされる人が増えたりしたら、なおさら印象が悪くなったでしょう。

それを「タッチ&ゴー」という6文字で解決したのですから、たいしたものです。

「買い取ります」から「お売りください」で市場を動かす

そうやって人を動かしたということなんですね! 他にもありますか?

ちょっと待ってくださいね。もういちどウィキp

あ、もう、そういうのは結構ですから

有名なところではブックオフでしょうか。

従来、古本屋といえば「買います」「高価買取」といった店舗主体の表現が一般的でしたが、ブックオフは「お売りください」という顧客主体の表現に変更しました。

たった一言変えただけのようですが、それによって読み終えた本をブックオフに持ち込む人が増えたということです。

「お客様の立場に立って」とはよく言われることですが、表現ひとつで目線を変えたという発想の転換の好例でしょう。

他には、どれだけ値下げしても売れなかった健康食品が値上げすることで売上が増大した話なども興味深いですね。

このケースだとあえて高額に設定することで「名前は知らないけれども、これだけ高額なのだから、きっと効果があるのだろう」と思わせることに成功したといえるのではありませんか。

なんでもかんでも「安かろう悪かろう」とは限りませんけど、「無名で安い」というのは不信感を抱かせることもあるでしょうしね。
健康食品や医薬品のようにカラダに影響のありそうなものはなおさらです。


はじめは難しいかなって思ってましたけど、意外にちょっとしたことでもマーケット+ingできるんですね。私にもできそうな気がしてきました!

いやいや、そんなに簡単なことではないですよ。結果だけ聞くと簡単なように思えるかもしれませんが、それは“コロンブスの卵”というものでしょう。

そうそう、コロンブスの卵といえば、面白い話があるんですよ。聞いてください、わたしの若いころの話ですが……

スーパーのタイムセールが始まるから帰りますね


マーケティングをきちんと学びたい方には、こちらはいかがでしょう。
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