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名目賃金と実質賃金の違いは?物価を考慮した賃金の考え方

言葉の違いを説明できますか?

ときおり報道でも話題になりますが、「名目賃金」と「実質賃金」という言葉があります。
少し前の選挙でも、「実質賃金が下がっている」ことを争点にした政党があったのをご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。

それでは、名目賃金と実質賃金は何が違うのでしょうか。
細かい定義はおいておき、わかりやすいところをざっくりと解説します。

名目賃金と実質賃金

名目賃金とは

名目賃金というのは私たちが普段受け取っている金額通りの賃金のことです。
つまり、「あなたの名目賃金はいくら?」と聞かれたら、給与明細に書かれてあるとおりの数字を答えることになります。

月30万円の給料をもらっていれば、名目賃金は30万円ですし、月に50万円もらっていれば名目賃金も50万円というわけです。

なお、賃金を「手取り」で見るのか「額面」で見るのかという点については、名目賃金は「額面」で受け取ってよいでしょう。

実質賃金とは

実質賃金は物価を考慮した実態を表す指数です。
指数というように「実質賃金は○○円」と金額で表すものではありません。
あとで示すように、基準値を100としたときに、それと対比して「現在のポイントはいくつか」というように提示されます。

さて、「物価を考慮した」というのはどういうことでしょうか。

たとえば毎月30万円の給料を得ていたとします。
ここで物価が2%上がったらどうなるでしょうか。
単純にいえば、先月まで30万円で買えたモノの値段が2%上がった場合です。
つまり物価が2%上がれば、これまで30万円で買えたものが30万6千円出さないと買えないことになります。

たしかに額面上、給料は減らされていません。
しかしながら、これまで買えたものが買えなくなってしまいました。
ということはお金の価値が下がったともいえます。

つまり“実質的には”賃金が目減りしているというわけです。
これが実質賃金の考え方です。

名目賃金・実質賃金はどこでわかる?

名目賃金も実質賃金もどこでわかるのでしょうか。
少なくとも給与明細を見れば、自分の名目賃金はわかります。
では、実質賃金は?

いろいろな統計資料で参照されていますが、厚生労働省から発表されている毎月勤労統計調査を見れば実質賃金指数もわかります。

せっかくなので、実質賃金の推移をざっくりと見てみましょう。
毎月勤労統計調査 令和4年5月分結果確報「時系列第6表 実質賃金指数」参照

年月 現金給与総額
指数 前年比(%)
平成30年 102.1 0.2
令和元年 101.2 △1.0
令和2年 100.0 △1.2
令和3年 100.6 0.6
令和3年4月 88.6 2.9
令和3年5月 86.8 3.1
令和3年6月 139.9 0.5
令和3年7月 117.1 1.0
令和3年8月 86.6 1.1
令和3年9月 84.7 0.0
令和3年10月 85.3 0.1
令和3年11月 88.7 0.1
令和3年12月 171.2 △1.3
令和4年1月 86.0 0.5
令和4年2月 83.8 0.0
令和4年3月

89.5

0.6
令和4年4月 87.1 △1.7
令和4年5月 85.2 △1.8

※1.事業所規模5人以上
※2.令和2年平均を100とする

月別に見ると極端な増減がありますが、令和2年を100としたとき、令和3年以降は100未満が続き、実質賃金が下がっているのがわかります。
もちろん、単純に名目賃金が減っているのに引っ張られて実質賃金も減少している可能性も考えられるでしょう。
とはいえ、こうしてみると数字通りの賃金では測れない側面が見えてきますね。

小さな会社の〈人を育てる〉賃金制度のつくり方

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