×

記事検索

商品検索

社会保険の適用拡大で短時間パートも加入対象に

2022年10月から対象企業が増加!
 

年金制度改正法が2022年4月から順次施行されます

2020年5月29日、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」いわゆる年金制度改正法が成立しました。

この年金制度改正法の主な内容は以下の通りです。
厚生労働省:年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました

  1. 被用者保険の適用拡大
  2. 在職中の年金受給の在り方の見直し
  3. 年金の受給開始時期の選択肢の拡大
  4. 確定拠出年金の加入可能要件の見直し等

どれも興味深い改正ではありますが、ここでは「1.被用者保険の適用拡大」(以下、社会保険の適用拡大)について、2021年2月に開設された社会保険適用拡大特設サイト(厚生労働省)を見ながら、制度概要を紹介します。

社会保険の適用拡大(2022年10月以降)の概要

まずは社会保険の適用拡大について、どんな内容なのかを確認してみましょう。

対象企業は2022年10月から段階的に拡大されます。

<対象企業の拡大範囲>※501人以上企業はすでに義務的適用済
・2022年10月~ 従業員数101~500人
・2024年10月~ 従業員数51~100人

次にどのような従業員に対して適用拡大されるのかを見てみましょう。
下記4点すべてに該当するパート・アルバイトが社会保険の加入対象者になります。

<対象者の要件>
1.週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
2.月額賃金が8.8万円以上
3.2か月を超える雇用の見込みがある
4.学生ではない

ちなみに要件3「2か月を超える雇用の見込みがある」について、すでに適用対象である従業員数501名以上企業における現行の要件は「1年以上の雇用の見込みがある」です。

前回改正と比べて要件にも変更がありますので、ご注意ください。

会社が負担する社会保険料はどれくらい増えるのか

社会保険の加入対象が増えるということは、社会保険料の事業主負担分が増加するということでもあります。

新規加入対象者となるパート・アルバイトが多い会社では、来期以降の資金繰りにおいて考慮しておきたいところです。

社会保険適用拡大特設サイトでは、会社が負担する社会保険料がおおよそどのくらい変わるのかを試算する「社会保険料かんたんシミュレーター」を用意していますので、こちらを使ってみましょう。

試しに「新たに対象となる人数」を10名(うち40~64歳の人数を8名)、「対象者の平均給与月額」を90,000円、「年間の賞与」を給与の1か月分としてシミュレーションしてみましょう。

社会保険料シミュレーション
<クリックで画像拡大>

社会保険料の事業主負担額は年間で「約1,781,000円」と試算されました。

この社会保険料かんたんシミュレーターでは「年間の賞与」を1.5か月分というように、小数点以下を入力しても計算してくれるので、細かく調整して試算することができます。

2022年10月からの社会保険の適用拡大に伴い、対象者が見込まれる場合はこちらで試算してみてはいかがでしょうか。

専門家への無料相談で早めに対策を

2024年10月からは従業員数51名以上の会社で社会保険の適用が拡大されることになるので、将来的には多くの中小企業でも影響を与えることが予想されます。

国ではさまざまな支援制度を提供しているので、これらの活用も検討してみましょう。

専門家への相談など各種支援制度(社会保険適用拡大特設サイト)

  • 専門家活用支援事業(無料)
  • よろず支援拠点(無料)
    売上拡大や経営改善等の経営課題の解決に向けたワンストップ相談窓口
  • 中小企業生産性革命推進事業
    ものづくり補助金、持続化補助金、IT導入補助金
  • キャリアアップ助成金

なかでも「専門家活用支援事業(無料)」は年金事務所を通じて社会保険労務士を無料で派遣してもらえる制度です。

2022年10月以降の社会保険の適用拡大に備えて、社内対応の検討や従業員への説明のサポートなど、さまざまなアドバイスを受けることができますので、ご活用ください。

該当するパート社員にとってのメリットは?

社会保険の適用拡大によって、新たに加入対象となるパート・アルバイトの方々にはどんなメリットがあるのでしょうか。

まず保険料の支払いはどうなるのでしょう。

これまで口座振替などで国民年金・国民健康保険料を支払っていたところ、加入対象者になると給料からの天引きにより厚生年金保険料・健康保険料を支払うようになります。

また保険料の半分は会社が負担することになるので、加入対象者本人の負担額が減ることになります(下図参照)。

保険料本人負担
社会保険適用拡大特設サイト「パート・アルバイトの皆様 保険料のご案内」参照

※ただし、保険料の本人負担が増額になるケースがありうることも指摘されています。前もって標準報酬月額に応じた負担額を算出し、本人に説明することが求められます。

ほかにも年金額が上乗せ(基礎年金部分に加えて報酬比例部分が上乗せ)されたり、傷病手当金や出産手当金が支給されたりするようになります。

社会保険適用拡大特設サイトにおいても年金額がどれくらい増えるかシミュレーションされていますので、ご参考ください。

年金額シミュレーション
<クリックで画像拡大>

まとめ

以上の通り、会社にとっても加入対象となるパート・アルバイトの方々にとっても、社会保険の適用拡大の影響は大きくなりそうです。

2022年10月のスタート時に慌てないよう、今のうちから社会保険適用拡大特設サイトをはじめとして、いろいろな情報媒体や専門家へのヒアリングを通じて情報収集と対策の検討を行っておきましょう。

お買い物カゴに追加しました。