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研修に参加しても、なぜ社員は変わらないのか

「なりたい会社」になるヒント

先日、ある社長さんから「階層別研修などを随時、実施しているのに、社員に変化がない」というご相談を受けました。なぜ、社員は研修を受講しても変わらないのでしょうか。
「本人にやる気がなかった」「研修内容が合わなかった」という理由もありますが、実は組織の問題が大きく影響しています。

たとえば、社員が研修で学んだことを活かそうとしても、それを実践できる環境がどれだけ整っているでしょうか。
研修受講後、上司や同僚から何もフォローがない中小企業は少なくありません。研修内容を実践するかどうかは、社員個人の問題としているのです。

でも、それを実践したとき周囲から何の反応もなく、むしろどこかしらけた目で見られたりしたら、その社員は二度と実践しようとは思わないでしょう。
研修は、それを受講していない人も含め、会社全体でサポートしなければ、受講者本人の変化も望めないのです。

組織の問題点を改善する

また、組織のなかで役割分担が機能していないケースもあります。

ある営業部長さんは、部下の自発的な行動によって売上目標を達成させたいと研修を受講させましたが、変化がないと悩んでいました。そこで、営業部の状況を詳しく聞いてみると、

  • 売上目標の根拠が希薄
  • デキる部下に偏った売上目標を課している
  • 全売上の八割を社長と部長で達成している

などといった問題点に気づきました。なかでも、いくらプレイングマネジャーとはいえ、売上のほとんどを社長と自分が支えている状況では、部下に自発的な行動を期待しても難しいと思い当たりました。
そして、部下たちに自覚を促すためにも、社長や自分の担当顧客を部下へ引き継ぎ、そのうえであらためて変化を見守りたいとおっしゃいました。

もし、研修を受講しても社員の様子に変化が見られないようなら、「社員個人の問題」と捉えるのでなく、「組織の問題」と捉えてください。
研修で学んだことを活かすサポート体制が整っているでしょうか。経営者として、組織として、受講者にどのような変化を望んでいるかを本人にもきちんと伝えているでしょうか。いま一度、考えていただきたいと思います。

今回で、この連載も最終回となります。ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!

月刊「ニュートップL.」 2011年12月
吉川直子(コーチ型人材コンサルタント)


掲載内容は取材当時のものです。
現在の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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